15日のシンポジウムで田原総一郎が
「政治資金規正法だけでの起訴なら検察の敗北」
と言っていた、その敗北の意味にはさまざまな側面が考えられると思う。
まず、「東京地検特捜部」が動いてただそれだけでは、今回の捜査自体が、民主党に政権をとって貰っては困る層の意を受けた捜査だと指摘されても仕方がない。
だから、今回のことで小沢一郎が退陣しないのはむしろ当然である。というか、退陣してはいけない。そんなことをすれば、立法が検察の違法な介入に屈する悪しき前例を残すことになる。
さらに、小沢一郎が党首にとどまることで、マスコミも検察もこの事件に幕引きができない。検察は捜査を続行せざるえない、自民党サイドの気勢があがらないのも
「政治資金収支報告書の修正申告もできずに、いきなり逮捕ならば、ぜんぶの秘書が逮捕されますよ」
という上杉隆の言葉どおり、
「じゃあ、これから全員、政治資金規正法で虚偽記載→即逮捕拘留→起訴→辞任なのね?」
と言われて困る人間はむしろ自民党に多いはずだ。
もちろん、今回の捜査が小沢一郎辞任を狙った国策捜査でないなら、どんどん逮捕して政界の浄化を図ってもらえばいい。
しかし、前警察庁長官の漆間巌官房副長官の発言どおり、なぜか「自民党議員には波及しない」ままなら、佐藤優の本からだんだん人の口にのぼりはじめた「国策捜査」なるものが、ついに公の目にさらされた記念すべき最初のケースになるのではないか。いまや「国策捜査」という言葉が、「侍ジャパン」や「藤原紀香」と同列にテレビから流れてくる。
今まさに「国策捜査」が国民の目の前に姿を見せ始めている。