朝まで生テレビの感想

knockeye2009-03-28

何日か前に「政治家に生まれたての赤ん坊のような純粋さを求めて何になるんだ?」というようなことを書いた。
それを書いた時点では、小沢一郎にもいささかの非はあるだろうというつもりだったが、実のところ、今回の事件では「生まれたての赤ん坊」とまではいかないものの、法的には限りなく潔白に近いという結論になりそうだ。
検察内部からも異論や批判が出ていることは以前にも書いたが、昨夜の「朝まで生テレビ」に出演していた元東京地検特捜部検事の郷原信郎によれば、小沢一郎どころか大久保容疑者の政治資金規正法違反ですら公判維持できるかどうかさえ危うい状況だということだ。

意図的に世論を誘導していくことで問題になっている検察リークについては、

荻原博子)「ちょっと聞きたいのは、何か証拠がなければ、どんどんリークしていって、世論はいくら小沢さんは悪いと思っても、結局裁判になったときに『それは違ったよ』という話になっちゃったら、これもうめちゃめちゃな大恥かくわけじゃないですか?」

郷原信郎)「しかしですね、たとえばゼネコン汚職事件がですね、判決まで何年かかったか。こないだ十五年目にですね、とうとう亡くなっちゃったんですね、被告人は。それと同じように公判っていうのは、もう社会の関心が薄れてから判決が出ることがたくさんあるんですよ。ですから、今回も小沢さんがもし辞めればですね、社会の関心はスーッとその問題からはずれます。そうすると、もうみんなが注目しなくなったときに、仮に無罪判決が出たってそんなに大きな問題じゃなくなるんですよ。」

枝野幸男)「これは今の裁判員制度の話もありましたけれど、公務員って言うのは守秘義務がありますよね。その守秘義務の中でも最も強いといわれているのが捜査情報なわけですよ。
国会でさまざまなことについて警察呼んで話を聞いても『それは捜査情報ですからしゃべれません』と。確かにそのとおりなんですよ。
(検察リークというのは)その守秘義務に反していることを明々白々にやっているわけですよ。
まさにこれは公表する価値があるということで公表するならば、記者発表とかして検察の説明責任を果たす、これは、ありだと思いますが、そうでないのに守秘義務がある検事が特定の記者にだけしゃべってるということは、これは明らかにその検事は国家公務員法違反なんです。」
郷原信郎)「それは間違いないです。
その件に関して重要な動きがあるんですよ。今ね、ライブドア事件の関係でですね、95億円、株主から損害賠償請求を受けて一審で認められたんですよ。その一審判決の中、いつ粉飾決算の事実が公表されたかという時期が問題になるんですね、株価の動きとかの関係で。
で、その判決はですね、検察官があの強制捜査のあとですね、二日後にリークしたと。公表したといっているんですよ、まだ着手もしていない粉飾決算の事実について検察官が公表したといってるんです。」
(田原 総一朗)「検察官自身が?」
郷原信郎)「ええ、検察官が。そういう民事判決がでてるんですよ。」
(田原 総一朗)「ムチャクチャだ」
郷原信郎)「ええ、それで今日ですね、ちょっとわたし聞いたのは、参議院予算委員会でその件についてなんか質問が行なわれたらしいんですよ。」

郷原信郎)「一番典型的なのがあれですよ、例の小沢続投会見直後のNHKニュースですよ。
小沢さんが続投すると二十四日の日に会見をやったあと、午前0時からNHKがですね、トップニュースで翌日の6時、7時とずっと流し続けたのが、『大久保秘書が虚偽記載の事実を認める供述をしているということがわかった』といってるんですよ。
ところがですね、さきほども言ったようにですね、認めるって言ったって何を認めるかなんですよ。ようするに、西松建設から来たお金だということがわかってたって『それは分かってました』って認めたって、虚偽記載を認めたことにはならないんですよ。寄付行為者の問題ではありませんから。
自白にならないことを自白だといってですね、報道して、それで小沢さんは会見で『続投する、何にも自分は悪くない』っていってるけども、秘書はもう認めてるぞと。こういうような報道をやってる」
(田原 総一朗)「NHKの報道がまったく虚偽の報道だとこの点どう思う?」
枝野幸男)「少なくとも、(大久保秘書が虚偽記載の事実を認める供述は)事実だと確認されていないのは間違いないわけですよ。少なくとも、しゃべったとされてる側の弁護士が『しゃべってません』ということをいってるわけですよ。ということは、検察のリークしかありえない。ですよね。しゃべってるかどうか取り調べてるのは検察なんですから。それの情報にだけ基づいて、確定的に報道している。
これは大事なことは、政治問題の前に、まだ小沢さんや大久保さんは公人ですよ。公人としていろいろな政治問題として、いろんな事されても仕方がないと、百歩譲って、あるかもしれない。
これ裁判員制度が始まって、普通の、殺人とか傷害とか、重い罪についての粗暴犯のときに、皆さんの誰かが間違って捕まえられて、そして、こういう検察リークで、いろんな世論が形成されて、プロの裁判官ならともかく、裁判員がその新聞記事を読んでて、こいつはこんな悪いやつだと、いう印象の中で裁判員制度なんかやられたら、大変なことになりますよ。」

細野豪志)「民主党の小沢代表は弁護士を通じてそういうことはないと、認めてないと言うことを発表していて、(大久保秘書が虚偽記載の事実を認める供述をしたという報道は)事実に反していたわけです。
この問題には、もうひとつ指摘をしておきたいのは、たとえばわたしなんかは個人献金で10年やってるわけです。民主党はそういう収賄とか談合からは一番遠い政党だというイメージを作るためにがんばってきたわけですね」
(田原 総一朗)「小沢さんは一番近かった」
細野豪志)「いや、ただ、少なくともこの事件に関していうならば、談合と収賄とは直接関係なかったということを、少なくともここまでは、もう検察も発表してしまったわけですよね。」
(田原 総一朗)「職務権限がないからね。だから収賄はないですよ。」
細野豪志)「で、このイメージを作ることにですよ、かりに捜査関係者と称する検察が非常に大きな影響力を及ぼしたとすればですよ、これはもう政治そのものなんですよ。」
山口二郎と田原 総一朗から小沢vs検察という争いに民主党を巻き込むべきではないという意見が出されていたが、その点に少し疑問があって、今回の事件は「小沢vs検察」なのか。実は、「民主党vs検察」の争いに小沢一郎が巻き込まれたとも解釈できる。小沢一郎民主党の党首でなくても、今回の事件は起きたのだろうか。
思い出してみれば、菅直人が辞任した例の年金未納問題は、明らかに社会保険庁の意図的なリークによるものだった。
狙われているのが小沢一郎ではなく民主党であるとしたら、ここで辞任することは思う壺なのではないか。
番組内でも指摘されていたが、ネットのアンケートによると、検察がおかしいとする意見は60%近くにも上っている。
現時点では、逮捕の衝撃と、それに続くリーク記事の垂れ流し報道のために瞬間的に小沢辞任を求める声が高まっているが、民主党の支持率はほとんど影響を受けていない。
小沢辞任で手打ちになればいいが、わたしはそうならないと思う。検察は次の手を打ってくると思う。私にはむしろ、小沢代表のまま選挙を戦ったほうが、一庶民として分かりやすい。
誰が考えても明らかに異常な捜査であることをアピールする努力が足りないことが一番の問題だと思う。
テレビがなぜ検察のリークを無批判に垂れ流しているのかもまるで理解できない。