孫が読む漱石

孫が読む漱石 (新潮文庫)

孫が読む漱石 (新潮文庫)

14日の日曜日は、せっかくTOHOシネマズが1000円の日だったのに、なにかひどく疲れてずっと寝ていた。
気持ち的には、寝ているだけでは足りなくて、できればぺしゃんこになって床板の下にもぐりこめれば気持ちいいだろうなという感じだった。
しかし、一応、本は読んでて、夏目房之介の『孫が読む漱石』を読みおえた。
吉本隆明の『夏目漱石を読む』が面白かったので、なんとなく漱石つながりになってしまった。
なんとなく日本人全員が身内みたいな気分になっている漱石を、ほんとの身内が読むというのも新鮮なものである。
吉本隆明は『門』がお気に入りのようだったが、夏目房之介は暗くてかなわないのだそうだ。
『こころ』について、現代の女性読者の立場に立つと、身勝手な男にしか見えないのではないかという見方は、世代的にすごく分かる。そういう意見は、別の場所でも耳にした記憶がある。
しかし、吉本隆明に言わせると「それをいっちゃおしまいよ」ということだと思う。
恋愛を軸にしてあの小説を読むと、たしかにお孫さんの言う通りなんだけど、「先生」の性格悲劇という見方をすると、それでもなお、迫真性があると思う。
わたしも多くの人と同じで『こころ』がすきなのだけれど、なにせ読んだのが若いときだから、今読むとまたちがうかも。漱石を読み直してみたい誘惑にかられるのだけれど、ただ、読もうと思って買ってある本がいっぱいあるしな。
私は、サマセット・モームとのように一度読んだ本は二度と読まない主義とはいわないけれど、たしかに、同じ本を暗誦できるくらいに読み直すというタイプではないなぁ。
昔、読書系のメーリングリストにはいっていたけれど、『細雪』を毎年必ず読み直すという人がいた。