風雨雪

風雨雪(ふうせつ)

風雨雪(ふうせつ)

斉藤真一のエッセー集をもうひとつ。
「朱と黒の幻想」がよいと思う。
この人の絵の赤は独創的で、このエッセーの中で本人がいっているように、たしかに「赫」とか「朱」という字をあてる方がずっとしっくりくるように思う。
本来、暖色であるはずの赤の色が、この人の絵の中では何故か冷たく感じられる。
かじかむ指先とか、吹きさらしの駅のストーブとか、そういう連想を誘う赤の色なのである。
斉藤真一によると、広重の東海道五十三次の二川に描かれているのは瞽女だそうだ。