葛飾北斎

knockeye2010-07-05

日曜日の続き。
有元利夫を東京庭園美術館でみたあと、浮世絵太田記念美術館葛飾北斎を観た。
現在、富嶽三十六景全46作品が展示中。
ということは、東京では現在、東海道五拾三次全部と富嶽三十六景全部が見られるわけか。
富士山という山は、多くの画家が取り組んでいるが、絵にするのはむずかしい山なんじゃないかと思う。
自然界にあんなに単純な斜線が存在するという感動なんだろうか。
富士山の存在が江戸と京都の文化を分けているかもしれない。富士という山は、どこかちょっとおっちょこちょいな気もする。
とはいえ、横浜にやってきたエメール・ギメだって、船上から富士を見て感嘆の声をあげていた。
その記述を読んだとき、わたしも明治のそのころの日本に行ってみたいと思った。
そういえば私自身も、ロシアからの帰りに、船で一緒になったイギリス人に
「運良く晴れたら海越しに立山が見える」
と言ったものだった。あのイギリス人たちはどう思っただろう。あの朝、現に立山が見えたのだけれど。
「それがどうした」くらいのことかな。それとも、あの山の姿に日本人の望郷をかぎとっただろうか。
私が今回の展示に惹かれたのはこの絵↓

<諸国瀧廻り 木曽路ノ奥阿弥陀か瀧>
絶対見えるはずのない、滝が流れ出す前の流れを描いている。
北斎の、描きたいものは描くというすごさ。これで、絵として破綻していない、どころか、瀧だけ描くより迫力が増してるもんね。
北斎の娘、葛飾応為の絵も展示されていた。
私はなぜかこの女性に心惹かれてしまう。
北斎自身も、「美人画を描かせると、応為のほうがオレより上手い」と洩らしていたそうだ。