『THE GUILTY ギルティー』

 デンマーク映画っていうのを初めてみたかもしれない。
 なんか不祥事を起こした、ある警官が緊急コールセンターっていうのか、日本でいえば、110番の通報をうける部署にあたる、そこに一時的に配属されている。
 あした裁判があって、それが大過なく終われば、現場復帰できるっていう日、いま現在進行形で誘拐されている女性から緊急コールが入る。
 去年、『サーチ』っていう映画があって、それは、PCモニターの画面だけで映画が進行するので話題になったが、こちらは、そこまで設定にこだわったというんでなくて、緊急コールセンターの緊迫感。誘拐されている女性、誘拐犯、その女性の留守宅に残されている幼い娘さん、そして、もちろん、パトカーや警察の指令本部と、主人公の警官が、いわば電話のハブになっているので、そこを動けない。カメラも緊急センターを一歩も出ない。
 でも、舞台でやれるかっていうと、電話の声が対話のほとんどなので、舞台より映画のほうがずっとあってる。誰かが「低予算映画の見本」って書いてたけれど、確かにそうだと思う。シナリオの勝利。
 『サーチ』もよかったけど、こちらは、リアルタイムで盛り上がっていくので、そのぶん、凝縮感が高い。電話の声だけで見えない分、かえってリアルに感じられる。
 ハッピーエンドとまでいえない意外な結末も時代を映している。