今更ながら小泉政権を振り返ってみる

 「安倍首相と桜を見る会」が公職選挙法違反だそうなのである。であれば、刑事事件であるから、本来、何らかの形で司法の動きがあるべきだと思う。そうでないと、この国の司法が腐っていることになる。

 だから、司法がまともに機能しているなら何かあるだろう。しかし、「国策捜査」なんて言葉を平気で口にする検察官に法の公平なんて意識があるわけない。何もなかったとしても今更驚かない。行政も司法も腐ってるということ。

 こういう言わずもがなのことを一所懸命Twitterに上げてる野党議員って、何をやってるつもりなんだろう。

 「大風に灰を撒く」という言葉があるんだけど、たしかに、そのtweetがどこかに飛んで行って、それを見た安倍政権の支持者が、一転、不支持にまわって、安倍政権の支持率が急落するかもしれないが、それでもし、支持率が大して変わらなかったら、この言葉を聞くたびにはらわたが煮えくり返るのだけど、「国民が右傾化している」とか、打ち上げの席でくだをまいてお開きということだろう。

 くどいようだけど、安倍政権のひとつ前の政権は、民主党という、今はもうなくなった政党が政権を担当していた。その民主党政権は、内輪もめで三人も総理大臣を代えたけど、その民主党政権を実現させたのは、まぎれもなく投票した国民なんであって、国民が、衆議院で308議席も獲得するという大勝利を民主党にもたらし、国政のかじ取りを民主党にまかせたわけ。

 民主党政権は、その信任に応えましたか?。少なくとも、応えようとしましたか?。高速道路の無料化という公約は、選挙後1週間で破棄、沖縄の基地移転はオバマと話し合う事さえしなかった。「官から民へ」といいながら、結局、官僚に言いくるめられた。

 民主党は国民の期待を裏切った。その明確な記憶が残っているなかで、Twitterとか、そんな戦略しかないのかと、かつて投票した国民が情けなくなるのがわからないですかね。

 立憲民主党が、最初のころ支持を集めたのも、ほかでもない、民主党から追い出されたからなのだ。いかに旧民主党が疎まれているかが分かるはずである。

 そして、この言葉を聞くたびにはらわたが煮えくり返るのだけど、都合が悪いと「国民が右傾化している」と言い出す。公約を守ろうとすらしなかったのだから、信頼を失って当然だろう。投票した国民はコケにされたようなものだ。

 そもそも民主党が大勝したのは麻生政権が、小泉政権の約束した政策を、選挙にもかけずに次々に反故にしていったせいなのである。

 小泉構造改革の是非については、郵政改革ですら骨抜きになって実現しなかったから今言っても仕方がないが、あの当時、「市場原理主義では、企業がハゲタカに食い荒らされるぞ」とか言われていたが、今どうなってるだろうか?。ロクに収益を上げられない企業が、市場の監視のないまま、既得権益にしがみついているだけで、それこそ、格差の拡大の原因になってるんじゃないのか?。

 小泉政権時代を今ふりかえると、まず今にまで影を落としているのは、外務省から親米派以外の外交派閥を一掃してしまった外交だと思うが、経済政策で問題だったのは、金融政策が不在だったことだろう。あれだけ長期に好景気が続いたのだから、あの時、今の黒田日銀総裁のようにインフレ政策に転換していれば、結果はずいぶん違っていただろう。

 それを踏まえて、今の安倍政権をみれば、外交は、小泉時代以上に対米偏重なのは、中国が急速に力をつけてきたことと、対韓外交で躓いて自分の首を絞めたことがあるが、経済政策で、せっかく日銀がインフレ政策に転換したのに、いわゆるアベノミクスの第三の矢、小泉時代のような、大胆な規制改革や新たな起業支援といった政策がほとんどなされていないことで、金融政策の効果がいかせていない。そのために、景気回復が本格化せず、そのために、アメリカに立場を主張できないという悪循環に陥っている。

 そう考えて、民主党政権を振り返れば、子供手当、高速道路の無料化、消費税据え置きなどの、ばらまき政策は、じつのところ、的外れではなかった。金融政策が伴っていなかったが、「官から民へ」の富の再分配の変換に、曲がりなりにもなったはずなのである。

 そして、沖縄の基地移転も、あのときは、オバマだったのだから、その中国にたいする親密度を考えても、基地問題が進展する可能性は、すくなくとも今よりはるかに高かった。そして、なにより、公約ではない、などと,あとになって言い始めたが、選挙中にそれを口にしていたのだし。

 とにかく、国民は、その公約を信じて、民主党に投票したのだし、その公約を民主党が反故にした以上、国民にできることがほかにあるとすれば、今の香港のように暴れるしかない。それなのに、この言葉を聞くたびにはらわたが煮えくり返るのだけど、「国民が右傾化している」とか言って自分たちの裏切りに反省の色もない。

 最近、鳩山由紀夫共和党を立ち上げた、その結成に向けた講演の要旨が、なぜか産経新聞にいちばん詳しく載っていたのだけれど、そのなかに「今の政治に対して責任がある」と明言し、「官から民へ」「対米偏重是正」を目指したか果たせなかったという率直な、そして何より正確な、反省の弁があった。

 共和党という名前についても、民主党がダメなら共和党かよ、と突っ込むのは簡単だが、「コミュニタリアニズムというものの良さ、コミュニティーというものを大事にするということが1つの答えとしてあり得るなということになった」ということで、私はこれは正しいと思う。

 すくなくとも、安倍首相の桜を見る会についてtweetしているよりは、何百倍も意味のあることだと思う。桜を見る会のこの問題が立ち消えになるにせよ、安倍政権の息の根を止めるにせよ、ただ政争の具にするだけなら、旧民主党政権の二の舞なのは目に見えている。この問題について、鳩山由紀夫共和党を論じるのは突飛のようだけれど、なんにせよ、政治家は建設的であってほしいと思う。Twitterとか、そうじゃないわけよ。

 

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