マリー・ローランサンって根拠なくレズビアンだと信じてきたけどバイセクシャルなんだね。
それはこういう
よりも
こういうエッチング
の方に如実に感じる。女を見る目がエロいのよ。タマラ・ド・レンピツカの絵にも感じるけど。
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こないだのキュビズム展で初めて知ったけど、マリー・ローランサンをキュビズムの画家に分類することもあるらしい。シャガール以上に無理だと思うなあ。
ただ、マリー・ローランサンがキュビズムの画家たちの周辺にいたことは確かで、
「ローランサンは、『夜の手帖』のなかで、自らの芸術について次のように語っている。
『私の学びとった少しばかりのものは、私が大画家と呼ぶ同時代の人たちーマチス、ドラン、ピカソ、ブラックといった人たちから教えられたものです。この人たちは私がここで引き合いに出すのをよろこばないでしょうが、じつはそうなのです。カルメンの歌にたとえてみるなら〈あなたは私を好かなくても、私はあなたが好き・・・〉というわけです。』(大島辰雄訳)」
だそうだ。この解説の中で思わずクスッと来たのは
「・・・ピカソは、スペイン亡命中のローランサンに対して悪口を流布するものの、ローランサンは彼のことを生涯尊敬していた。」
というくだり。ピカソは野人だよなあ。
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『夜の手帖』にはまた
「私が立体派(キュビスム)の画家にならなかったとしても、それはつまり、なろうにもなれなかったからです。そのちからがなかったわけですが、彼らの探究には今でも情熱をかきたてられるのです。」
とあるそうです。
マリー・ローランサンがバレエ・リュスのためにデザインした衣装は、確かバレエ・リュスの展覧会で観たことがあった。デザインってもふつうにローランサンの絵なのよ。
むしろ、あれを3次元の服にした職人さんに感心した。私たち素人はデザイン画と普通の絵は違うと思いがち。でも、服を作る人たちは、マリー・ローランサンの絵を見て服の出来上がりをイメージできるのね。
マリー・ローランサンは、肖像画家としても活躍した。
「1923 年頃からは肖像画家として人気を博することになる。きっかけとなったのは、美術収集家でもあったナポレオン・グールゴー男爵夫人(1886-1959)の肖像画だった。この肖像画が評判になり、ローランサンは、パリ社交界に多くの顧客を持つようになった。」
のだそうだ。
しかし、ココ・シャネルはマリー・ローランサンの描いた肖像画が気に入らず突き返したって話。
わかる気がする。マリー・ローランサンの女のイメージと、シャネルの創造する活動的な女はまるで相容れない。逆に、ココ・シャネルはなんで肖像画を発注したんだろうと思うくらい。シャネルの女は夢なんか見ないで現実を見てるって気がする。
でも、そのローランサンの絵から現実の服を作る職人さんもいるってのが面白い。
ローランサンのマドリード滞在中、堀口大学はローランサンの散歩のお供を務めていた。あるとき、ローランサンから、自分の使っている色はこれだというメモを渡されたという。
「そこには7つの絵の具の色が書かれていた。
コバルトブルー(bleudecobalt)
BI (bleu d'outremer)
茜紅色(laquedegarance)
エメラルドグリーン(vertemeraude)
象牙黒(noird'ivoire)
銀白(blancd'argent)
鉛白(blancdezinc)」
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多分、堀口大学が舐められてるとは思うが、私たちもうっかり、その辺のヘタウマみたいな扱いをするきらいがあるかも。
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これはごく初期のローランサンの自画像。ここから
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ここに辿り着くのだから、やっぱりこの人も天才のひとりだった。