銀塩の神様

knockeye2004-09-02

函館の大沼の写真。八月も半ばとなると北海道は秋の朝だ。「北海道の八月は秋みたいだな」と思ったある日のことを思い出した。
この旅には、デジカメのホワイトバランスを整えるため、白い紙を携行していた。
試みとしては面白かったけど、課題は、露出がアンダーになってしまうことみたい。
結局、この写真は、アドビで「自動レベル補正」している。もちろん、カラーバランスだって、いじろうと思えばいくらでもいじれる。結果が良くなるかどうかは別だけど。

振り返って、銀塩のフィルムは、一旦露光してしまうと、取り返しがつかなかった。もともと昼の光での使用が前提なので夕日が見た目通りにとれたりはしなかった。しかし、銀塩フィルムは意に介さず、勝手に化学反応を起こして、色を定着する。フィルムは神様みたいに絶対の存在だった。

酒蔵に酒の神が住んでいるように、銀塩カメラの箱の中には、銀塩の神様が住んでいた。1000分の1秒で発酵が終わる世界最速の醸造だった。
デジカメにはもう神様はいない。デジカメは恐ろしく記憶力のいい同級生みたい。「クッチャロ湖の夕日・・・」とかいうと、恐ろしい正確さで再現してくれる。私はこの同級生が、少しだけむかつく。