ルーブル美術館展 ベルギー象徴派展

ベルギー象徴派展

昨日のうちに、紹介された不動産屋とアパートを見て回り、住むところを決めた。4件見て回ったが、どれも2DKなので、間取りはさほど変わらない。一軒目に見に行ったアパートの窓のすぐ下に川が流れていた。一目で気に入ったけれど、残念ながら駐車場がなく、洗面所が独立していない。バイクは何とか置けそうだし、顔は風呂場か流しで洗えばいいとも言えるが、仕事のことを考えると、閑かさより利便性を優先した。
結局、不動産屋イチオシの物件にしてしまった。つまり、ちょっと高い。しかし、住まいには妥協しない方がいいとは、今の部屋で身に沁みている。
ここに転がり込んだ時は、人生最悪の状態。正直、住むところなんてどうでも良かった。人生は呪うものであり、愛するなんて思いも寄らない。私のイメージでは、この町は『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』の「世界の終わり」の方だった。
富山に来てからを一言でいえば「悪戦苦闘」。不景気との悪戦苦闘でもあった。
そのわりに、ロシアツーリングに出かけたりしているわけだが、賢明な諸氏にはおわかりの通り、仕事が順調であれば、出かけられはしない。
不思議なことに、そのロシアツーリングが、私を今の仕事に引き合わせたし、(もちろん、仕事の中身は何の関係もないけど)その結果、富山を脱出することになった。ロシアに出かける時、「人生最後の夏休み」と言っていたが、確かに次の休みはかなり遠いようだ。おそらく今までよりも、休みが減ることは間違いないだろう。かまわない。二学期はもう始まっている。
せっかく、関東平野に来ているのに、しかも、土曜なのに、このまま帰るのは、忍びない。ぴあと地図を買って、ホテルの部屋であれこれと考えた。木村伊兵衛の写真展が、川崎市民ミュージアムで開催中だが、鉄道では便が悪そう。帰る道すがらを考慮に入れて、まずみなとみらいの横浜美術館に「ルーブル美術館展」を見に行った。
ところで、余談になるけれど、地図を見ていて、川崎の地名に突然引っかかるものがあった。「もとすみよし」である。「あ、俺ここに住んでた!」と、急に思い出した。中野のあと、ここに越したのだ。小学一年生の時で、神奈川はそれ以来と言うことになる。私も変わったが、町はもっと変わっているだろう。
ルーブル美術館展」は、朝から行列。15分待ち。それでもフェルメールの時よりはまし。あのときは、炎天下に大阪市立美術館を一巻きしていた。
会場にはいると、いきなり、アングルの「泉」が迎える。一瞬、「本物?」と思ってしまった。サブタイトルが「19世紀フランス絵画 新古典主義からロマン主義へ」。ギリシャ神話の、プシュケーとアモルを題材にしたものが、どぎまぎするほど美しかった。
アングルが新古典主義で、ドラクロワロマン主義なのは、裸婦の描き方に現れる。ドラクロワは裸婦を理想化しない。風景では、やはりコローがよかった。
しかし、私の格好だが、土曜日の服装ではなかった。音声ガイドの調子が悪いらしいおばさんに「美術館の人ですか?」と声をかけられてしまった。
次に、渋谷のbunkamuraに「ベルギー象徴派展」を。フェルナン・クノップフという画家をはじめて知った。バーン・ジョーンズに影響を受け、ウィーン分離派にも出品していたというので、クリムトとかラファエロ前派が好きな人は気に入ると思う。