青白い炎

青白い炎 (ちくま文庫)

青白い炎 (ちくま文庫)

幼稚園の先生が言ったとおり、季節が急に秋に落ち込んで、先週と同じジャケットとポロシャツの下に、一枚Tシャツを着てもまだ肌寒い週末になった。細かな雨が降り続いて外には出かけないでいてしまった。
それに少し疲れていたらしく、ナルコレプシー型の睡魔に襲われて、床に文庫本が落ちる音で目がさめるといった具合だった。
ナボコフの『青白い炎』読了。
英語が分からないので、アレクサンダー・ポープのヒロイックカプレットが味わえないのが残念だ。この小説は、ある詩人の遺作とその友人の手になる注釈から成り立っているが、詩と注釈のとんでもない対比が、何が正気と狂気を分けているかと考えさせる。また、事実と虚構を分けているのは何かとも。
最初に提供される詩が、自伝的でリアリスティックであったとしても、この小説全体が虚構なのは、まずは分かっているわけだから、ナボコフ自身の亡命白系ロシア人という経歴を考えると、真に迫って迫力もあるし、注釈の方を全く荒唐無稽と片付けるわけにもいかないが、ただ、そもそも詩の注釈には全くなっていないのは確かだ。
ナボコフの小説は、読み終わった後で、「あれ?ちょっと待てよ」っていうことになる。敗北感が漂う。
ヒロイックカプレットはアレクサンダー・ポープの発明で、たしか、シェイクスピアソネットを全部それで書き換えて顰蹙を買ったという話を聞いたことがあった。
紅玉が出ていたので買ってきて食べた。その前に食べた卵とじのかつなべで、硬口蓋の薄皮がめくれていたので、ちょっとしみた。
朝二時ごろ地震