告白

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中学生と女教師が繰り広げる、マカロニウエスタンを思わせる復讐劇。ラストシーンなんて多分映画化したら効果的だろう。
作家のこれが処女作ということもあってか、技巧にうならされることはないが、小気味よいテンポでがんがん直球を投げ込んでくる。
しかし、登場人物の性格はいじけてみじめだ。
「みなさんさようなら」という青春小説を読んだ時にも感じたが、青春を題材にするとき、今の時代はこのくらいに荒涼とならざるをえないのだろうと、すでに青春と縁が切れたものとしては、彼らの世代にやや冷ややかな視線を向けている。
世代論ということを言えば、学校裏サイト2ちゃんねるが今という時代の青春を象徴するすべてだろう。だからこそ無差別殺人は、渋谷でも原宿でもなく秋葉原でなければならなかった。
青春と年金は早晩抱き合わせにして廃品にまわされるのだろう。
ところで、勤務中に飲酒していた私の「相棒」だが、その後上司から洩れ聞いた話によると、飲酒について追求されたとき、私がジュースだといったので飲んだと言い逃れしたそうだ。
一応彼の年齢について言及しておくと、5歳ではなく50歳である。酒で身を持ち崩す人は珍しくもない。しかし、そのそれぞれの場合に人格の差が出るだろうと思う。彼の場合は、年下で10年もキャリアの差のある後輩に責任を押し付けようとしたわけだった。しかも、仕事のミスではない、自分の飲酒の責任をである。
責任ということについて改めて考えさせられた。もし、責任のあるなしについて議論し始めれば、どんな極悪非道な行為の責任もそれを他人に転嫁できる。責任はあるかないかが問題なのではなく、とるかとらないかがコアなのだ。
もし責任があったとしてもそれをとらなければ何の意味もない。延々と裁判で争って、なんとなくうやむやのうちに病死する人生は新聞テレビでよく目にする。政界のドンとか医学界のドンとかに多いパターンだ。
その種の人間はこのさい無視するとして、逆に、責任がないのに責任をとるということも予想できる。つまり、「罪と罰」というとき、罪がなくても罰を受けうる可能性を示唆している。