ひとつの内閣にばかふたり

いしかわじゅんのマンガにこういうのがあった。
ある素人画家が探偵をたずねてくる。
画家「怪盗○○が私の絵をねらっています」
探偵「そんなに値の張る絵に見えませんが」
画家「キャンバスが純金なんです」
制作費が高いほど高く売れるならハリウッドも苦労しない。
かんぽの宿グリーンピアの構造は全く同じ。
役人が公的資金をつぎ込んで無駄な施設を作る。
まず造る時に水増しで儲ける。
そして造った後は法外な報酬と退職金で儲ける。
はじめから採算性は度外視しているので、売り払うときは一文にもならない。そもそも批判さえ起こらなければ、売り払われることすらないのだ。永遠に公金を食い物にできる。
グリーンピアのときはそれを作って運営してきた社会保険庁が批判された。
ところが今回は造った側の責任はまるで無視されている。
(?)と思っていたら、12日、鳩山邦夫かんぽの宿問題について
西川善文社長の進退も含めて検討する」
と発表した。
なるほど、狙いはそこにあったかと納得。西川善文社長就任以来、郵政のファミリー企業の実態がつぎつぎに明るみに出てきていたのだ。
後任は「元郵政事業庁長官」の団宏明副社長だそうだ。
郵政事業庁」って「かんぽの宿」に責任はないの?
国は日本郵政の株主だそうだが、毎年40億円の赤字を出し続ける事業を処分するのに反対するのはなぜなんだろう。
しかもその赤字の中身は、実際の事業によるものは数億円で、それ以外の赤字が何十億なのだそうだ。誰のふところに入っているのか。
いずれにせよ、これで、麻生内閣発足以来、着々と続けられてきた改革の骨抜きがついに完成した。官僚側としては「おつとめご苦労」というところだろう。支持率も14%にまで落ちたことだし、「サミットを花道に辞めちゃって」というところか。
おそらくそろそろ民主党ともハナシがつき始めているところだろう。
よく、麻生太郎の発言はぶれると言われているが、私はそうは思わない。
大前研一が去年末ブログで書いているように、麻生太郎は首相に就任して以来、終始一貫して改革の骨抜きをやってきた。いわば官僚の傀儡政権「改革骨抜き内閣」だった。その一点においては見事に一貫している。
やはり、「踏襲」を「ふしゅう」と読む人間は総理にすべきではなかったのだ。「腐臭」の原因は彼自身だったのだ。