「シェルブールの雨傘」

knockeye2009-02-13

カトリーヌ・ドヌーヴ主演「シェルブールの雨傘」デジタルリマスター版が公開されることを映画館の予告編で知ってから、観にいきたいという強い気持ちと、その気持ちが失われた時代への郷愁に過ぎないという確信が、心の中でずっとせめぎあってきた。
なんといってもオリジナルが公開されたのは1964年なのだ。
シェルブールの雨傘」と聞いてわたしが思い出すのは、子供のころラジオから流れてきていた悲しげなインストゥルメンタルの楽曲。AMでもFMでも、なんとなくラジオをつけっぱなしにしていると、いつの間にか流れてくるメロディーだった。
あの時代、普通に空気のようにそこにあったあのメロディーの、最初に流れてきたその映画館の暗がりに浸ってみたい。映画を見たいといういつもの気持ちとは全く違う。でも残念なことにそれよりずっと強いのだ。
CGもモンタージュもない美しいフランスの港町。エッソのガソリンスタンドさえ美しい。そして、カトリーヌ・ドヌーヴ
映画がおわった後、もうしばらく暗くしておいてほしいと思った。