高速道路無料化

前原国土交通大臣が、高速道路の無料化について「急がない」といったそうだが、私は急いだ方がいいと思う。
高速道路の無料化はマニフェストで約束したことだから、やらないという選択肢はありえない。であれば、スピーディーにやる方が国民にアピールする。
どんな改革にも必ず負の面が生じる。その負の面だけあげつらうのが役人のやり方。それを真に受けていては永遠に現状維持しかできない。それが役人の狙いだ。
どんな改革も不老不死の仙薬ではない。負の面をおそれて二の足を踏んでいては改革はできない。負の効果が生まれれば、そのつど解決策を考えればいい。
渋滞についていえば、今まで万単位だったものがただになるのだから、一時的には殺到するのは当然。だんだん分散していくと考えるのが普通だろう。渋滞が起こるということは、言い換えればそれだけ支持されていることである。それとも、渋滞緩和のためには一般道も有料にした方がいいとでもいうのだろうか。
他の公共交通機関への影響だが、むしろ物流の流れが変わるチャンスだろう。
以前から言われていることだが、物流が自動車に偏りすぎている。高速道が渋滞してトラックが走りにくいとなれば、物流はフェリーとJR貨物にシフトしていくと期待できる。むしろトラックの高速道への乗り入れを禁止して、意図的に物流をシフトさせてもよい。そうすればトラック運転手の長時間労働の問題、JRとフェリーの経営の問題、CO2排出量の問題の解決に寄与することができる。
それに、道路はインフラであってサービス業ではない。そもそも高速道は本来無料にする約束だったということを忘れてもらっては困る。
八場ダムの問題にしてもさっそく逆風が吹きはじめている。
こうして、改革の総論には全員賛成、各論になると全員反対という現象がすべての局面で待ち受けていると思ってよいのだろう。
また、大久保秘書逮捕のときに明らかになったように、マスコミは世論誘導をして官僚と利益団体に便宜を図るだろう。
ただ、民主党自民党のように政官業の癒着構造の中にいないことが最大のメリットであるはず。
ひとつだけ肝に銘じなければならないのは、郵政選挙のときから、国民のマジョリティーが支持していることは、官僚政治からの脱却であること。間違いなく国民は改革を支持している。その部分を見失ったときには国民の支持は離れる。
細川内閣の挫折以来16年越しにめぐってきたチャンスなのだから、この機会を逃さず、一気呵成に国のグランドデザインを書き換えてもらいたい。これは今この国の大多数が望んでいることだと思う。