『抱擁』

抱擁

抱擁

今週は毎日本を読んでいる。
辻原登は、たぶん危機感を持ちながら小説を書いている作家だと信頼している。
その意味で、何を読んでも面白いが、辻原登初心者にはこれはオススメしませんけど。
‘憑依’ということには最近すこし興味を持ち始めている。集団心理が不特定の個人の上に突然具現化する感じが不気味でそそられる。
最近では、「格差社会」という集団心理というか脅迫概念というか。
幕末なら「ええじゃないか」とか、戦後すぐなら、海水浴場で兵士の幽霊に子どもたちが引きずり込まれるなんていうことが実際に起こったらしい。
かならずしも科学的でも論理的でもないこういうことが、人々の間に伝播して共有される。
それを考えると背筋がすっと寒くなる。
と、話がもうこの小説とは離れてしまっているのだけれど。