挨拶の話

イチローが、今年からエンジェルズに移籍した松井秀喜と、オープン戦で初顔合わせしたとき、
「似合ってないよ」
と声をかけて、挙げた手を広げて見せていた。
‘似あってない’というのはもちろんエンジェルスの赤いユニフォームのことだろう。
うわっつらでもなく、子どもじみてもなく、ポンと肩でもたたく感じの絶妙な挨拶に感心してしまった。
こういう、ある意味‘華麗な’挨拶は、松井秀喜にはできないだろう。この挨拶の差が、イチローと松井の差なのだろうと思った。
挨拶ができない人は仕事ができないとはよく言われることだけれど、たしかにいえてるんだろうなとは思っている。
挨拶なんて、そもそもほとんど無意識にやっている習慣のようなものだけれど、挨拶はコミュニケーションの入口みたいなもので、お店のドアにかかっている‘OPEN’というプレートみたいなものだと思う。
女子高のバレー部みたいな挨拶をする必要はないと思うけれど、まともな挨拶をしない人って、汚れた暖簾が半分まくれ上がって、やってるかやってないか分からない蕎麦屋みたいなもので、商売繁盛するとはとうてい思えない。
挨拶という漢字は、どちらも‘ひらく’という意味だと教えてもらったことがある。世界にむかってOPENであり続ける努力は、いつでも必要なことだと思うし、挨拶はOPENであることの表明だと思っている。