ジャンルー・シーフ

ジャンルー・シーフの写真を見ていると、モノクロームという写真特有の表現がいかにセクシーであるかがわかる。ヌードが知的に見える。
でもたぶんそれは、モノクロームであるからではなくて、ジャンルー・シーフがモデルの知的な部分に敬意を払っているからだと思う。
world famousな女優を裸にして、さらにカメラを向けようというのだから、その行為にはカメラマンの人徳が現れるのはむしろ当然だろう。
たとえば
「あんたは芸能人で人にハダカ見せてカネ取るんだから、オレのいうとおり脱げよ」
という態度では、よい写真が撮れるはずがない。そういうことが教養とか洗練とかいわれることだと思う。
ジャンルー・シーフが最後までこだわったモノクロームと広角レンズの世界、よく見ると、地平線を境に丹念に覆い焼きがしてあったりして、こういう暗室の職人技に憧れたりしたときがあったなぁとか懐かしく思った。
職人技へのこだわりと他者への敬意が地続きであることはむしろわかりやすいと思う。