総理大臣の孫

さっきうっかりテレビのニュースを見てしまったら、鳩山由紀夫全国知事会
「(米軍の)訓練の一部を県外に移すことが可能か。是非考えてみようというお気持ちをお示しいただければありがたい」
と、物腰だけはあいかわらず柔らかいが、オバマに「とらすとみい」と自分から勝手に約束した期限まであと5日という今になってそういうことを言われても、それに対して何らかの建設的なことが言える知事がいるはずがない。
つまり、この鳩山由紀夫の発言は、‘あてこすり’のたぐいなのである。なにしろ、「普天間なんてみなさんも知らなかったでしょう?」というのがホンネなのだから。
リンク禁止でおなじみの日経ウェブに、知事たちの反応がまとめられているが、 森田健作千葉県知事の
「なぜ今、全国の知事を招集したのか疑問だ。普天間に火が付いており、全国に火の粉を分散する形になるのではないか。議論は(首相が)普天間できちんと方向性を示してからだ。」
という意見が正論だと思う。
しかし、‘なぜ今、全国の知事を招集したのか’については、疑問というより、むしろ見え透いている。鳩山由紀夫としてはこう言いたいわけ、
「私は普天間の県外移設に努力してまいりましたが、知事の皆さんの協力が得られませんので、辺野古案に戻らざるえなくなりました。私のせいじゃありません。あなたたちのせいです。」
この‘おれのせいじゃねぇ’というケツのまくり方は、先の選挙に大敗した麻生太郎の再来。
総理大臣の孫とということだけで、その人物までイロメガネで見るつもりはないが、進退窮まったときに、その人の地金が顕われるのではないか。
‘オレのせいじゃねぇ’というその態度は幼稚で、その手法は姑息だ。
正直、軽くめまいがした。
また、今日、5月27日、テニアン市の市長が来日して普天間基地の全面移設の希望を表明している。

来日中の米自治領北マリアナ諸島連邦テニアン市のラモン・デラクルス市長は26日、米軍普天間飛行場移設問題をめぐり「仮にテニアン市への移設が実現すれば日本も沖縄もテニアンも幸せになれると確信している」と、あらためて米軍部隊受け入れに前向きの姿勢を示した。参院議員会館で会見した。

http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1005260050/

このことに、オバマ政権の意向がまったく反映していないとはとうてい思えない。
しかし、この案に対しては、当の北沢俊美防衛相が「抑止力維持ができるかという議論が起きる」ともみ消しに躍起だ。
そんな‘議論’は‘起きる’のではなく、政治家と官僚が‘起こす’にすぎない。なぜか?そこに利権があるからだ。
高速道路無料化についても、渋滞が心配とかで、公約違反は心配じゃなかったらしいのだが、これらはすべて官僚の論理だと気付くはずだ。
高速道路無料化で渋滞が起きたとすれば、それはそれでその問題解決の手段を講ずればよい。
起きるか起きないかわからない抑止力の議論が、公約を踏みにじる言い訳になるだろうか。
マニフェストに掲げた公約を実現することがもっとも重要だと、辞任した藤井裕久は主張していたが、選挙に掲げた公約を実現すること以外に、‘政治主導’がありうるのかと疑問に思う。