「ハーツ・アンド・マインズ」、「ウインター・ソルジャー」

今日、恵比寿に来たのは、東京都写真美術館で上映されているこのふたつのドキュメンタリー映画を観るため。
http://www.eigademiru.com/
「ハーツ・アンド・マインズ」
ベトナム戦争に関わった人たち、合衆国大統領から、一介の兵士やベトナムの娼婦まで、すべての人たちの言葉を公平に、批判を加えず記録することに、いかに価値があるかということを、五十年という時が経った今、あらためて思い知らされる。
誰がウソをついているのか、誰が間違ったのか、この映画はあえて語ろうとしないが、政治家が口にする言葉は、五十年たっても変わらないみたいで、五十年前も、ついこないだも、どこかで聞いたようなことを口にしている。
インタビューアーに
「わたしたちは何かを学んだでしょうか?」
と聞かれた帰還兵が
「trying not to(学ぶまいとしているんだ)」
と即答し、しばらく絶句していた。
「ウインター・ソルジャー」
ベトナム帰還兵たちが、1972年という、ベトナム戦争が泥沼化していくその只中で、まだなまなましい自分たちの体験を公聴会で証言したドキュメンタリーフィルム。
そういうことが行われて、こういう映画が作られたこと自体に、七十年代の、アメリカという国の若々しさを感じてしまう。
証言の内容は残酷だが、真実を語ろうとする熱意がひしひしと伝わる。
「今日ここに来たのは、同じ隊にいた○○がきてくれたから。それで信憑性が保証されるとおもって」
彼らは残酷な話を暴露したいのではなく、真実を語ろうとしている。
ある帰還兵がインタビューでこう語っていた。
「ある大学でベトナム戦争での体験を語ろうとしていたら、聞きに来ていた一人の女がたちあがってこういった。
『あなた恥ずかしくないの』
それで、その女の年を聞いたら37歳だという。
だから言ってやった。
『オレがベトナムに行ったのは19のときだ。そのとき、あんたは選挙権を持っていたはずだ。
あそこで起きたことに責任があるのは、あんたの方だ』
ってね。
あのときはほんとに腹が立ったよ。」