ヒラリー・クリントン

わたくしヒラリー・クリントンという政治家はなんとなく尊敬している。
ハノイで岡田外相と会談していたニュースを見た。
気持ちが顔に正直に出るタイプみたいで、日本の政治家にうんざりしている感じがすっごくよくわかって面白い。
たとえば温家宝と会談しているときの顔と較べてみるとよい。
八月末までに普天間問題のめどが立たなければ、べつにクリントンでなくてもぶちきれて当然だろう。
社会人の常識にのっとって、‘先様の立場’にたって物事を考えれば、ルーピーが最初に主張していたように、グァムかテニヤンに移転してくれという主張なら交渉にもなるが、今の日本政府の態度を突き詰めると、‘すいません、どうすればいいでしょう?’ということにすぎない。
ちらっちら、ちらっちら、こちらの顔色見ながら言うこと変える相手を、あなたならどう思うかっていう話。
私がクリントンの立場を慮れば、たぶんこう思っていると思う。
「日本は、普天間基地を鹿児島に移すとか、辺野古を埋め立てるとか、くい打ちにするとか、そんなことが政治課題であると思っているらしいけれど、基本的に、国際社会の一員として、世界の安定と秩序にどういう形で寄与するつもりでいるのか、そのことがまったく見えない。
日本自身のヴィジョンがはっきりして、そしてそれに伴う具体的な行動があって初めて、基地を動かす議論が存在するはずで、それもないのに、普天間の基地を辺野古にうつしてそれで何になる?
この手の官僚的な思考の政治家と話しても退屈だなぁ」
で、あの顔。
日本は鎖国的になっていると、最近よく耳にするようになった。
元寇のとき、京都の公家さんたちが
「元の船団を壊滅させた神風が吹いたのは、私たちが京都で加持祈祷をしていたおかげだ」
と主張して、鎌倉幕府に褒美を請求したそうだ。
昔の公家さんはジョークが好きだったんだなぁと思うかもしれないけれど、これは大真面目な話。しかも、これが日本の政治の中枢で行われていた。
つまり、これが鎖国というものだ。
世界全体から見れば誰もが首を傾げるような議論にはまり込んで抜け出せなくなっている。
ハノイの会談でクリントンが岡田に申し入れたことは、亀井静香大塚耕平がつくったあのバカ法案は、WTO協定に違反してるよってことだったそうだ。