タンブラーという変革

knockeye2012-01-11


 このGQの記事は示唆に富んでいる。

 貧富の格差に対する草の根の抗議運動としてNYから世界各地に飛び火した「オキュパイ・ウォール・ストリート(OWS)」が実は一部で「タンブラー革命」と呼ばれているのをご存じだろうか?
 OWSの主催者たちはデモを始める前の8月に「wearethe99%」というアカウントを設置し、ローンが払えない、仕事が見つからないといった自分の苦境を表す文章に「私は99%です」の文に加え、写真とともにアップするように、一般ユーザーに呼びかけていた。
 このアカウントは、気に入ったポストを自分のフォロワーと共有するタンブラーの「リブログ」機能によって瞬く間に拡散し、ネット上でOWSが知名度を上げるのに大いに貢献した。
 イランの反政府運動ツイッターを利用して海外に情報を発信し、エジプトで学生たちがフェイスブックでデモの参加者を動員したように、タンブラーは「99%」の一般市民が顔を見せて声を上げる場を提供した。

 Occupy Wall St.デモは、この記事のように‘OWS’と略されるのが一般的になってきた。
 そのことは、あのデモが、善くも悪くも、それ以上の広がりを持たなかったことを意味している。そして、あのデモがもっとも盛んであったときでさえ、あのデモの参加者たちの目的や主張が見えにくかったことも確かだった。それで、マスメディアの側も、さまざまな憶測や解釈を展開していた。
 それが、この記事のように、デモの発生の経緯から説明されると、ストンと腑に落ちる。
 つまり、‘OWS’は、目的や主張よりも、はるかに‘手段’の側に重点があったのだ。
 言い換えれば、何を訴えるか、何を実現させたいかということよりも、tumblrというアプリが、デモを誘発するほど魅力的だったということなのだ。
 iPadとflipboardとtumblrは、ネットの重心をシフトさせると思う。