「ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー」っていう映画がららぽーと横浜でやっているので、町田の国際版画美術館に行ったついでに、連絡がいいということもあり、観にいったな。
14日、TOHOシネマズデーでもあり、「舟を編む」も観たいけど、その前に何かという気持ちでもあったな。
ただ、まあ、言っておくと、この映画が、いい映画だろうと期待していたわけではない。だけでなく、おそらく箸にも棒にもかからないだろうと思っていた。案の定、映画が始まってすぐに、頭を抱えたな。
エチオピアのどこかの部族の村に住まわせてもらうあたりは、「うるるん」やるつもりじゃねぇだろうなと心配したが、予想に反して、初日で体調を壊してロッジに引き返すダメダメぶり。
コロンビアでは、八年前に野外フェスで共演させてもらったセベダさん(だったかな?)という彼の地の大スターと今回も共演しようとするんだけれど、うまくいかない。セベダさん(?)は、当時のことも憶えていてくれて親身にしてくれるんだけど、状況が許さないわけよ。フェスのとりだから、オーディエンスの気持ちを考えれば、当然だよね。
とくに、いかがなものかと思ったのは、そのとき携えてたのが、八年前とおんなじ曲で、しかも、その歌詞が「昨日じゃない、ふたりのこれからのために歌うよ、シンガソング」って、八年前の歌。ちょっと地ボケですよね。
それで、「くやしいなぁ」とかいってるわけ。エチオピアの時もなんだけど、うまくいかないことがあると「これもなんか絶対、意味があるんだ」みたいなことをいうわけ。
「ねえよ!意味なんか」って、こっちとしては突っ込みたくなるんだけど、なによりも根本的に、自分にとって意味があるかどうかっていう発想ばっかりで、自分が他人に対して意味がある存在になってるかどうかっていう発想がまったくない。これがまあみごとにない。
そのあと、トリニダード・トバゴのカーニバルにいくあたりで、おそらくスタッフが学習したのか、なんとかリズムが出てくるんだけど、でもまあ、こうやって文句言いながら途中で席も立たず、最後までおつきあいできるのは、ガチだからなんだね。
音楽についてはテイストがないのでわからないものの、凡百のJポップにしか聞こえなかった。むしろ、エチオピアの部族の女性が、ちらっと歌いかけた歌がいちばん印象に残った。
ナオト・インティライミは、リアル横道世之介みたいな感じ。憎めないですけど、大丈夫かという感じ。
こないだ手に入れた鋤田正義の忌野清志郎の写真集に
清志郎にまつわるいちばんの語り草は、2006年の『夢助』のレコーディングのとき。ナッシュビルのB.B.King Blues Clubで清志郎が敢行したライヴだ。あの夜、白いスーツでキメた清志郎がステージにいきなり登場したとき、聴衆が受けた衝撃は計り知れないものだった。有名なR&Bバンドを観ようと集まってきた彼らの前で、清志郎が日本語で堂々と歌い出したわけだからね。観客はしばらく何が始まったのかわからずにいたよ。ツカミの時点ではどうなるかと思ったが、そこは素晴らしいヴォーカリストだから、最後には彼のショーは大満足してもらえたんだ。
ソウルマンを目指したがる人は多いけどね、彼は本物だったということだよ。
とある、スティーブ・クロッパーの思い出話をちょっと思い浮かべてしまった。比較にもならないけれど。
ただ、こういう映画を観ると、おとなになっていろんなものが見えてしまうなぁという苦さがまあ味わいどころかな。