靖国も慰安婦も

knockeye2014-02-06


 ついこないだ書いたばかりだけれど、靖国は、日本が中央集権化するための、国家主義の装置だった。慰霊の施設というのは、あくまで体面である。
 安倍首相は、アメリカがとめるのを「心の問題」と振り切って、靖国参拝を断行したわけだけれど、それは「体面」を「実質」に優先する、愚かしい行為だった。明治の元勲が、ほんとに英霊として靖国にいたなら、安倍首相の今回の参拝には、頭を抱えたことだろう。
 韓国の学生たちが靖国に乗り込んで抗議活動をしたらしい。靖国という装置はもはや私たちには用済みの装置だが、彼らにはまだまだ使い出があるらしい。国家主義の日本製中古装置を韓国の国家主義者が再利用している。
 慰安婦靖国竹島、などなど、最近の日韓をめぐる一連の騒動は、一世紀前の日本と同じナショナリズムが、今、韓国で吹き荒れている、と考えるべきだろう。
 日本が70年前の戦争を反省が「足りない」、からといって、現在、チベットを侵略している真っ最中の中国と友好を結ぶ、などという韓国の主張はむちゃくちゃ。
 したがって、これは単に日本に対する憎悪なのだが、過去のいきさつを考えれば、それももっともだ。
 韓国が先進国に名を連ねるようになったのは、ほんのこの1〜20年のこと。いま、彼らに吹き荒れているナショナリズムについては、私たちは静観するしかない。これについて騒ぎ立てるのは、言葉を選ぶのが難しいが、レベルが低いのだろう。
 特に、ヘイトスピーチなどは猿並みだが、慰安婦について、韓国人と一緒になって「とにかくあやまれ」といっている連中もどうかと思う。
 NHKの籾井某の発言を受けて、先日も、慰安婦問題について、新聞に誰かが書いている記事を読んだが、要するに、「慰安所があったのは日本とドイツだけで、世界中どこにもあったわけではない」ということと、それから、軍が管理していたわけだから「強制連行の証拠はなくても」それは些末な問題だということだった。
 つまり、「とにかくあやまっとけ」派の人も、結局「強制連行の証拠はない」と認めているわけだ。強制連行の事実がなければ、慰安婦の問題は、たんに「戦地における公娼の人権」の問題であって、日韓関係とは何の関係もなくなる。
 言い換えれば、当時の日本社会での朝鮮人差別という事実と、戦地の慰安所という事実を、韓国のナショナリズムに結びつけるためには、証拠があろうがなかろうが「強制連行」というピースがどうしても必要だということにすぎない。
 「強制連行」は、現時点では「フィクション」にすぎないが、そのフィクションは、韓国のナショナリズムにとって、事実以上に強烈なイメージだろう。
 そのイメージは、彼らのコンプレックスそのものなので、たとえ、「強制連行はなかった」と証明されたとしても、彼らは絶対に納得しないだろう。
 むかし、小泉今日子が出演した韓国の番組を観たことがある。なんかパペポTVと徹子の部屋を足して割ったような番組で、おっさん二人がゲストを迎えてトークする感じだったが、小泉今日子が席について1分もしないうちに、ホストのおっさん二人が、酔っていたのか、酔いに紛らしたのか、口論からケンカし始めちゃったのだ。
 小泉今日子は、やさぐれの本性を眉間に発揮して、「何が何だかわからない」と画面の外のディレクターだかに言っていた。
 いい年の、向こうでは有名人であるはずのおっさん二人が、日本のアイドルを前にして、あがっている、見ているこっちも恥ずかしいようだったが、でも、コンプレックスとはこういうもので、一生消えはしない、隠すのはうまくなっても。
 つまり、私が言いたいのは、慰安婦靖国竹島、などなど、それはおしなべて韓国のナショナリズムというワンイシューなので、個別に対処していってもきりがないでしょっていうこと。
 で、私が提案したいのは三つ。
 ひとつは、ロシアと友好関係を結ぶこと。
 ふたつは、北朝鮮にも韓国に対したのと不公平にならないような賠償をすること。
 みっつは、ヘイトスピーチを排除すること。
 この三つを同時に進めていけば、韓国の熱病もだんだん治まるのではないかと思う。