「イット・フォローズ」

knockeye2016-01-15

 「イット・フォローズ」。
 「人生の約束」は、意外にヒットしてるみたい。大傑作とは言わないけど、ちゃんと手応えはある。あの日、ホントは「人生の約束」ではなく、これを観る気だったが、その前に「悲しみのイレーヌ」を読んでしまって、「これ、もしかしたら、カブるんじゃね?」って、思ったわけ。
 映画も本もフタを開けるまで油断ならないわけだから、正月早々、気色悪いのが続くのもどうかってこともあり、ゲンを担いだ。
 しかし、同じように猟奇的なシーンはあるにしても、「イット・フォローズ」の方が、ずっと知的に感じられるのは、たぶん、デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督が、子供の頃よく見た夢が、シナリオのベースになっているという、その恐怖が根源的であるためだろう。
 時代と場所がどこなのか、わざとわからないように操作してあることも、恐怖をダイレクトに共鳴させる。クルマ、衣装、小道具、照明とか、隅々まで徹底している。
 撮影場所はデトロイトだそうだが、なんだろう、日本で言うと、小樽とか、尾道とか、それこそ京都とかの、ホラー・バージョンみたいな、撮影のメッカになりつつあるのではないか。ジム・ジャームッシュの「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ」もデトロイトで撮影されていた。さびれ方に味がある。
 映画の公式サイトによると、主人公のマイカ・モンローのキャスティングについて、「この役のセリフを読んだ彼女が素晴らしかった」と監督が語っている。
 骨格のしっかりしたシナリオがあって、よいロケーションがあって、よいキャスティングに恵まれると、やっぱり、よい映画になるようです。猟奇的なシーンはあるけれど、本質は、猟奇的ではない。恐怖が深いところをゆさぶるわ。その点は、M・ナイト・シャマランの「ヴィジット」より、ずっと怖い。オススメできると思います。
「イット・フォローズ」公式サイト