山本耀司、朝倉優佳、村上早

knockeye2017-01-16

 お正月は恒例になっているbunkamuraアートギャラリーでのお買い得セール、買わないけど、値札とともにアートを鑑賞できる機会なので、のぞいてみることにしている。去年だったか、一昨年だったか忘れたけれど、香月泰男の小さな花の絵がすごく気に入ったが、値段を見てなるほどと納得したわけだった。
 今年は、油絵にはそんなにピンと来るものがなかったが、デヴィッド・ホックニーリトグラフが30万円そこそこ。わたしはデヴィッド・ホックニーの大ファンなので、ちょっとザワッとせんでもなかった。リトグラフがえらく多かった気がした。初日ってわけじゃないので、目玉商品はもう売れてたのかも。
 ベルナール・ビュッフェとレオナール・フジタのものが多数。フジタは裸婦もあったが、小品なら晩年の子供の絵は、実はすごく良いと思う。値段ももちろん良いけども。ビュッフェは、ホックニーより好きなくらいだけれど、今回はそんなにピンと来るのがなかった。
 身の程もわきまえず、本気で手を出そうかと迷ったのは、ハンス・ベルメールの小品が2つ。どちらも10万円しない値段で売っていた。ベルメールらしく、線がエロチック。こういうのを飾っとくのも悪くないだろうなと思った。
 ただ、財テク目的の絵の商売は、日本では、冬の時代であるらしい。オークションでの落札価格が下げ止まらないそうだ。
 また、税制の優遇措置がないために、コレクターが苦労して築いた貴重なコレクションの多くが、どんどん海外に流れていっているらしい。
 個人的には、そういう次元ではなく、絵を所有したら管理が大変じゃんって思っちゃう。「グレートミュージアム」てふウィーン美術史美術館のドキュメンタリー映画を観たが、閉館後に天井裏のペトリ皿みたいの覗いて「○の〇〇〇〇、蛾が6匹」とか。油絵の虫食い穴からピンセットで虫の死骸をほじくり出して顕微鏡で記録したり。考えるだけでうんざり。コレクターって性格じゃないのは自覚がある。
 その後、初台の東京オペラシティアートギャラリーで、山本耀司と朝倉優佳の展覧会「画と機」を観に行ったんだが、実は、そっちはどうでもよくて、4Fのコリドールで併催されている、村上早を観たかったのだった。

 去年、東郷青児記念美術館の「FACE受賞作家展」で観た作家の中で、永原トミヒロ、西村有と、この人が印象に残った。あのときは、まだ危なっかしいんじゃないかって感想だったんだが、一年後、一番強い印象が残ってるのは村上早だった。
 村上早は、去年はまた、アートアワードトーキョー丸の内で、フランス大使館賞を獲たそうで、今月29日まで、アンスティチュ・フランセ東京てふ場所で『ours ours』てふ展覧会がやってるみたい。もっと早く知ってりゃそっちにも足を伸ばしたところなんですが。