結局「慰安婦問題」は「挺対協問題」だった

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 以前に、小林秀雄のことばをもじって「慰安婦は存在する。しかし、慰安婦問題などというものはない。」と書いた。
 また「慰安婦問題は、事実に基づくファンタジーにすぎない」とも書いた。
 こういうことを書くと、右翼みたいに思われちゃうのである。で、右翼みたいに思っちゃった人は、そこで判断を停止してしまう。
 もちろん、判断を停止してしまうのは右の方の人も同じで、つまり、「慰安婦問題」については、右の人も左の人も目の前の事実が見えない状況だといえる。
 逆に言えば、目の前の事実が見えない人が、右翼であったり左翼であったりするんだろう。これも前にも書いたが、そもそも「右翼」「左翼」という言葉は蔑称として発生した。
「酸性」「アルカリ性」とか「N極」「S極」のような科学的な分析の言葉として生まれたわけではなかった。
 明治維新を実現させた国家主義は、江戸時代までの社会の根拠であった儒教的封建主義に対して新しい思想だった。それに遅れて入って来た自由主義、民主主義、社会主義共産主義などさらに新しい思想を国家主義者がひっくるめて「左翼」と呼んだ。呼ばれた側も、売り言葉に買い言葉で「右翼」と呼び返した。
 なので「右翼」「左翼」のことばに実体はない。そんな言葉に囚われていると現実は見えない。
 「慰安婦問題」は、日本の右翼、左翼、と、韓国の右翼、左翼の罵り合いであるかぎり、そこになにかしらの事実を見つけ出すのは難しい。
 わたしも昔は、「慰安婦問題」は戦時下の人権侵害の問題なんだろうと思っていた。日本軍が大陸でやらかしたぐちゃぐちゃを考えれば、それにひとつくらいの人権侵害が加わっても今更驚かなくて当然だろう。しかし、違った。これは全く別の問題だった。
 元慰安婦のイ・ヨンスさんが挺対協の実情を暴露して以来、韓国でもこの問題の実態に気が付く人がだんだん増えているのかもしれない。あるいは、先刻承知のことだが、自分たちに有利なウソにあえて頰被りしていたのかもしれない。つり銭が少し多かったからといってわざわざ返しに行くにはおよばないだろうというわけ。
 私はつくづく文系の人間なので、真実を(あるいはウソを)確信するのはいつも端っこである。
 橋下徹が、慰安婦発言について謝罪することになって、韓国から元慰安婦が来日した。だが、いざというときにその元慰安婦橋下徹に会うことを拒否した。
「私はこれまでも長くはずかしめを受けてきた。なぜまたここであらたにはずかしめを受けなければならないのか」
と言ったと記憶している。
 橋下徹に謝罪させるために、わざわざ韓国から来日して、いざ謝罪のときに面会を拒む言葉としてあまりにも奇異だと思う。
 しかし、だからこそ、そこに真実が宿っていると考えてしまうのが文系の発想だろう。
 ともかく、この発言で、挺対協と慰安婦の関係が分かってしまったし、「慰安婦問題」もわかってしまった。で、今の状況をみるかぎり大体において正しかったみたいだ。
 以下にリンクしたニコニコ動画は、週刊文春がスクープした、いわゆる「文春砲」のひとつなんだが、当時よりも、挺対協の実態があばかれつつあるいまの方がむしろ重みを増していると思う。「チャンネル桜」っていう右の人たちの手になるチャンネルみたいなので、毛嫌いして近寄らない人もいたかもしれないし、私もそうだったんだが、今、冷静に見てみると、「慰安婦問題」のそもそもの根拠になっている、慰安婦の証言集の編纂にかかわった教授のこの実にフランクな、平場の証言は、その後の展開も含めて貴重だと言えると思う。
 
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