トライアローグ 横浜美術館

 横浜美術館でトライアローグ展と題して、富山県美術館、愛知県美術館と三館の所蔵品を持ち合った展覧会が開催されている。
 昨日のBunkamuraミュージアムの「ベルナール・ビュフェ展」も、いわばベルナール・ビュフェ美術館の所蔵品をまるごと借りた展覧会だったわけで、折から、困った時はお互い様,みたいな雰囲気なのかもしれない。
 とはいえ、禍福は糾える縄の如しで、かえって良い機会なのかも分からない。こないだ国立西洋美術館でをロンドンナショナルギャラリー展を観たのだけれども、国立西洋美術館のコレクションも負けてないなと思った。
 その感じ方は変と言えば変なんだけど、もちろん、ロンドンナショナルギャラリーのコレクションは素晴らしいに決まっているのだけれども、公的な美術館のコレクション展となると、やはり、フックがないというか、お目当ての一枚がないと、引っ掛かりがなく通り過ぎてしまう。
 見応えのある順番で言うと、まず、一人の画家の回顧展、昨日のベルナール・ビュフェもそうだが、最近では、ピーター・ドイグとか、西村有、とか。次が、スクールごとの展示、ナビ派、もの派、エコール・ド・パリ、アシュカン・スクール、とか。その次が、個人コレクション、フィリップス・コレクション、クラーク・コレクション、高橋龍太郎コレクション、高橋誠一郎コレクション、John and Kimiko Powers コレクション、とか。これは、コレクターのマニアぶりが面白い。
 次に、私立美術館。これは、個人コレクションと重なるところもあるが、違いは伝統で古くから代々受け継がれているものがある。三井記念美術館の応挙の《雪松図》、根津美術館光琳の《燕子花図》などである。
 その次にようやく公的美術館ということになる。ただ、公的美術館でもコレクションにユニークなものがある美術館もある。町田国際版画美術館はわかりやすい例だけれども、滋賀県立美術館の小倉遊亀のコレクションとか、府中市美術館の牛島憲之とか。
 横浜美術館も、横浜という土地柄もあってか、ユニークなコレクションを抱えている。常設展の撮影ができるのもうれしい。この展覧会のあとは、改修工事で2年を超える休館だそうだ。名残惜しい。

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岡田謙三《黒と象牙色》1955

 イサム・ノグチとの2人展があった岡田謙三。抽象画だけれども、和のテイストがユニーク。

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斎藤義重《内部》1981

 横浜美術館にはもの派の菅木志雄の所蔵品もあって、展示室を飛び出して続く木の枠には驚かされた。

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江見絹子《三立婦》1953

 

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江見絹子《三立婦》部分