キネマ旬報ベストテン

 今年はコロナ禍の影響から、史上初の試みで、キネマ旬報ベストテンの授賞式がYouTubeライブ配信されていた。
 やっばり、日本ではアカデミー賞より断然こちらが信頼できる。
 2020年の作品部門1位は黒沢清監督の『スパイの妻』だった。脚本賞とダブル受賞。
 ところが、この映画を私はまだ観られていない。観るつもりだった日があまりに寒々しくて、例の第2派の自粛要請と重なったせいもありうだうだしてたら、「え」と言う速さで公開が終わってた。話題になっていた映画だったのでちょっと驚いた。
 佐久間宣行もオールナイトニッポン0で「去年観た映画でいちばん面白かった」と言ってた。でも、この映画、日本アカデミー賞にはノミネートもされてない。なんか細かな規定に抵触したらしい。佐久間宣行の解説だと、先にテレビ版がNHKで放送されたからとか、なんかそういうことだったそうだが、いずれにせよ、どっちかというと日本アカデミーの方の評価が下がる決定なんじゃないかなと思う。
 各部門いちいち予想しながら観ていた。水川まさみの主演女優賞だけは当たった。『喜劇 愛妻物語』、『滑走路』の2作品で受賞しているが、加えて『ミッドナイトスワン』にもヒロインの母親役で出てますし、去年の活躍は素晴らしかった。特に『滑走路』の、男と別れる時のセリフがすごかった。あのセリフが、ラストの少女時代の別れのシーンと響き合う。あの少年の思いが伝わって、あのときの少女がこんなに強くなった、というと時系列でおかしいんだけど、あのシーンを後ろに持って来た脚本がやっぱり秀逸だったと思う。
 『スパイの妻』はなんとか観たい。この受賞きっかけでどこかで上映してくれるんじゃないかと期待する。じゃなきゃ、新宿ピカデリーまで行かなきゃならないけど、このご時世だからなあ。

【公式】『2020年第94回キネマ旬報ベスト・テン表彰式』2021年2月4日(木)開催