HONDAのブースでも、片隅に電動バイクや電動スクーターが置かれていたが、今年のモーターサイクルショーでいちばん目立っていたのは「CAKE」だった。
聞いたことのないメーカーだがそれもそのはず、2016年に創業したばかりのスウェーデンのメーカーだそうだ。今年からゴールドウィンが日本国内でも販売する。
EUでは2035年からガソリン車の販売が全面禁止になる。その空気感が伝わる本気のブースデザインだった。白一色で統一された広いエリアには囲いもカタログもない。バイクと小さなカードが置いてあるだけ。企業のコンセプトが伝わる。
まるで自転車のチェーン、大丈夫かと思ってしまう。
何と発音するか難しいが、「¨」のついたOにSA。サイトでは「オッサ」と表記してある。
このライトのデザインがカッコいい。
オートバイといえば、長らく日本の4大メーカーが世界に君臨してきた。華やかなレースの世界はもちろんだが、目立たないが何と言っても世界に誇る超実用車カブは、名車中の名車であった。HONDAの技術者も何かのインタビューで、常に「カブを超えたい」と思っていると発言していた。
しかし、どうだろう。このガソリンから電気へと移り変わる大変動の時代に、ついにカブを超えるバイクが現れるかもしれない。そして、それは日本のメーカーでないのかもしれない。
日本のケータイは世界に先立ってさまざまな機能を搭載していた。「ガラケー」という言葉の「ガラパゴス」の部分は「古い」という意味ではなく「特異な発展を遂げた」という意味なのである。ご存知の通りその後、iPhoneがそうした「ガラケー」をスイープしてしまう。今では「emoji」という言葉が世界共通語に残っているだけ。今年のモーターサイクルショーを見ていると、iPhone登場直前の(あるいは直後の)、どこかエンジンのアイドリングのような、幕間の雰囲気を感じる。幕が開いてからはシナリオの変更はできない。一観客としては幕が開いてみないとどうなるかわからないものの、ガソリン車に未来がないのは確かそう。
CAKEの他にも、ENERGICAは、もうガソリン車と遜色なさそうに見える。
安倍政権の問題は、右傾化(果たしてあれが右なのかという問いはひとまずおくとして)よりも、新しい挑戦の気運を国民から根こそぎにしたことだったと思う。既得権益にしがみついている方が得だという気分を、これは右左に関係なく、いまや日本人の大多数が共有しているように見える。それが、モーターサイクルショーにまで見えるのはさすがにゾッとする。
たとえば電動バイクを並べてみようか。CAKE、ENERGICAと来たから次にBMW。
まだ、航続距離(140km)と充電時間(4h20m、高速でも1h40m)で実用的でないが、要点は、たとえばYAMAHAの
と比べてみると、このショーで見る限りは、YAMAHAは電動バイクなんて「所詮こんなですよね」としか思ってない。それに対して、BMWは、「カッコいいっしょ」って思ってる。この違いは天文学的に大きい。
同じく
と比べるとわかるように、デザインが寸詰まりに見える。もう少し足許に余裕がないと乗車スタイルがイメージできない。これは個人的な感想かもしれないが。