炎に消えた名画

ベルナール・ビュフェは黒いユトリロである・・・なんてね(^^;)。教会を描いた絵など見ているとそんな感じもするけど、ユトリロよりずっと存在が大きい。少なくとも、飲んだくれて自分のサインが判別できないということはないだろう。しかし、ユトリロの絵が好き、という人にはそんな見方もできるかしれない。
展覧会場を書き忘れていたけれど、バブル時代にゴッホのヒマワリを買った、新宿の損保ジャパン東郷青児美術館だ。今ではビュフェ展のオリジナル目録さえ売ってやしない。ミュージアムショップで絵はがきを買おうとしたら、「ニューヨーク」のはなく、「マンハッタン」と「百合の花」は売り切れていた。いい絵はやはり訴える力を持っているのだろう。

『炎に消えた名画』チャールズ・ウィルフォードを読んだ。
炎に消えた名画(アート) (扶桑社ミステリー)
美術評論家が主人公のミステリー。電車の中で読んでいて、「なんじゃこのねちっこい語り口は?」と辟易していたのだが、たぶんあっさり書いちゃうとリアリティーがなくなるのだろう。ありえない話だが、それなりに読ませるお伽噺。ちょっとラスコーリニコフを思い出させる変わった味わいの小説だった。