コンビニ

ちょっとコンビニに出かけてきたら、白いものがちらついた。小雪が舞っている。
「おやおや」と思いつつ、買い物を済ませて出ると、もう止んでいた。富山の雪に較べるとはかない雪だ。前にも書いたことだが、富山の雪はこんなものじゃない。深夜、車を走らせていると、雪女が髪の毛を振り乱しているみたいに見える。対向車線をダンプが通ると、すれ違いざま、重い雪のかたまりを浴びせかけられる。ワイパーが利かなくなることも珍しくない。もっともこれは、車種によるかも知れない。
このところ、寒い日が続いているが、妙に空模様がぐずついている。一雨ごとに春になるのだろうか。それとも異常気象だろうか。
いずれにせよ、暦の上では春が近いらしく、横浜の中華街では春節を祝うらしい。
春は、待ち遠しい反面、不穏な季節でもある。一面の雪に覆われた地面の下で、何が育っていたか明らかになるからだ。どんな怪物が生まれるか誰も知らない。いのちはそんな風に猥雑で、そのことを考えると、わたしはなんだか疲れてしまう。
冬に生まれたせいだろうか。春という季節には、身体と世界の間に薄い違和感を感じる。
今日の晩飯はマクドでベーコンレタスバーガーだった。明らかに小さくなっていると思うが、まあそれは良いとして、自分がなんでマクドナルドが好きか気がついた。池澤夏樹が言っていたけれど、あのハンバーガーは工業製品だからだ。自分は工場が好きなので、マクドナルドのベルトコンベアーから搬出される、あの工業製品が口に合うのだ。その意味では、コンビニ弁当も最近身体になじんできた。飽きるという状態を通り越して、体がコンビニ弁当を求めているときがある。細胞がもう工業製品化しているのかもしれない。