日本語の起源、落下の王国

日本語の起源 新版 (岩波新書)

日本語の起源 新版 (岩波新書)

源氏物語のもののあはれ (角川ソフィア文庫)

源氏物語のもののあはれ (角川ソフィア文庫)

大野晋を二冊。
現在、私たちが話している日本語が南インドタミル語と同系語であることはほぼ間違いなさそう。
特に、稲作関係の用語と用法に共通点が多いのが決定的。農業、機織り、埋葬などの文明とともに、言葉も伝わり、それまでの言葉を上書きしたのだろう。
もののあはれ」の「もの」も「あはれ」も意味も発音もほぼそのままタミル語にあるというのにびっくり。
そういえば、ことしは源氏物語千年紀だと、横浜美術館源氏物語展でも解説していた。源氏物語関係の出版が相次ぐようである。
下世話な話、紫式部藤原道長に肉体関係があったかどうかだけれど、そこは、空気を読みなさいよということなんだろう。大人になれよと。
大野晋は面白いのでもう一冊注文した。
世間では三連休だったようだが、私は土曜は夜勤明けで、この日はなぜかひどく疲れていて、終日、頭が枕から離れたり引っ付いたりしていた。この原因は、もしかしたら、先週の美術館イッキめぐりに遡れるのかとちょっと情けない気分になっている。体力ねぇーなぁ。
そういうわけで、日曜は美術館に対する忌避感が生じて、フェルメールピカソは次の機会に廻し、黄金町に「落下の王国」を観にいった。
設定は現代ではなく、1915年。主人公は映画のスタントマンで、撮影中に怪我をして半身不随になって入院している。
この主人公が、同じ病院に入院している5歳の女の子に、でまかせに話して聞かせる物語。私はサリンジャーの短編をちょっと思い出した。
ラストシークエンスには少し仕掛けがあるそうだ。チャップリンキートンハロルド・ロイドの有名なスタントに混じって、私は、この映画の主人公ロイがいたと思ったのだけれど、どうだったのだろうか。
ちなみに、ハロルド・ロイドはあのスタントを演じたときには、すでに手の指を何本かなくしていたはずだ。
あのラストシークエンスは、ひとり映画だけではなく、物語というものすべてに捧げられたオマージュと思えた。物語を紡ぎだそうとする祈りみたいなもの。
今のハリウッドは、自力でコンテンツを作り出す力が枯渇してしまっている。鉄腕アトムをハリウッドでリメークするそうで、そういうことにうるさい虫プロとの交渉がテレビでやっていたけれど、事前に市場調査した結果、アトムの顔をもう少し大人っぽくした方がウケがいいということになったようだ。虫プロ側もしぶしぶながら承諾していた。
マクドナルドは工業製品だと池澤夏樹が言っていたが、ハリウッド映画もまさに工場で作られる大量消費財みたいなものなんだろう。
ちなみに月曜日は普通にお仕事でした。
ああ、それから、落下の王国の主題歌がベートーベンの七番なんですね。よかったです。