枯葉の中の青い炎

枯葉の中の青い炎 (新潮文庫)

枯葉の中の青い炎 (新潮文庫)

恩田陸の短編集の中に名前が見えていた辻原登の『枯葉の中の青い炎』を読みました。
日常の中に物語を読み取る異才。霊が見えるという人がときどきいますけど、こういう人は現実の皮相の下に物語が見えるんじゃないでしょうかね。実話がいつのまにかファンタジーに転調する感じが絶妙。中島敦スタルヒンとか、リルケ三菱銀行北畠支店なんてなかなか結びつかないですよね。
「ちょっと歪んだわたしのブローチ」
「水いらず」
「日付のある物語」
「ザーサイの甕」
「野球王」
「枯葉の中の青い炎」
の五編からなる短編集です。
最初の「ちょっと歪んだわたしのブローチ」を読み終えたら、後は読まずにおれないでしょうなぁ。
だから中身にはふれずにおきます。
ちなみにこの短編集、’05年の川端賞を受賞しているそうです。川端賞の存在を知らないのですが、いわれてみれば確かに川端賞という感じです。