- 作者: 辻原登
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/04
- メディア: 単行本
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今回の、戦時中に失踪した民俗学者三上隆には、もっと大活躍を期待していたけれど、辻原登としては、もうすこし人物像がくっきり浮かんでこなかった。
それと、世界各地に伝説の残る小人族。と、三上隆と現代人との化学反応が、まだ熟成しきっていない感じがした。
映画「雪の下の炎」がでてきたりしたのにはびっくりした。
辻原登は、過去と現在、世界と日本が地続きだという感覚が鋭い人で、その部分ではいつも刺激を受ける。
コロボックルとかの小人伝説や、雪男の目撃譚など、私たち以外の人類の存在はなぞめいていて魅力的。
つい最近もフローレス島で、ホモ・フローレシエンシスと名付けられた、小人の人骨が発見された。
そういう私たち以外の人類がどこかで生き延びていてほしいという願いが心の片隅にある。
私たち人類の増殖の仕方は、地球にとってのがん細胞みたいだと思うことがある。