SHINE A LIGHT 

ザ・ローリング・ストーンズシャイン・ア・ライト
ザ・ローリング・ストーンズのライヴを映画にしようと思いついたミック・ジャガーが、リオデジャネイロのビーチを会場にした大規模コンサートを撮るつもりで、マーティン・スコセッシに監督を依頼した。しかし、会場を下見したマーティン・スコセッシは、舞台をニューヨークのビーコンシアターに変更した。マーティン・スコセッシストーンズが思った以上にストーンズのファンだったのだ。
この同じ年、スコセッシは「ディパーティッド」でアカデミー賞を受賞したが、あれよりこっちにアカデミー賞でもよかったくらいだ。なんといっても主役のかっこよさが段違いだ。
ミック・ジャガーの身体は細胞ごとロックンロールに入れ替わってしまっているのだろう。躍動する肉体からたたき出されるボーカルの素晴らしさ。
映画なので足を踏み鳴らしたり手を打ったりするのは自重したのだけれど、もうちょっとノリのいい会場ならどうなのかな。
しかし、映画であることの醍醐味は、コンサートでは絶対に近寄れない距離にカメラがズームしてくれること。しかも、カメラは名だたる名撮影監督たちなのである。キース・リチャーズチャーリー・ワッツロン・ウッドのちょっとしたしぐさや表情をまるで舞台の上にいるように堪能できる。
ゲスト出演したバディ・ガイがアップでじっとカメラを凝視するシーンがある。何を見てるのだろうと思ったけれど、ハッと気がついたのは、これはどこかを見ている目ではない、聞いている目だということ。彼の目に映っているのは音楽で、そしてこの映画が写しているものも音楽なんだということだった。
43年生まれのミック・ジャガーはこのとき63歳。きっと、ロックは彼らが墓場まで持っていくのだろう。