日本の美術館名品展、レオナール・フジタ

knockeye2009-06-13

上野の東京都美術館
「日本の美術館名品展」
を観にいってきた。
こないだ「ネオテニージャパン」に行ったときについでに寄ればよかった。気がつかなかったのである。
というのは、たいがい上記のような展覧会は、常設展に毛が生えた程度の内容である場合が多いのだが、さすがは東京都、ほんとに全国から名品を集めていた。
私が気に入ったものを列挙しておくと、
徳島県立近代美術館所蔵の
パブロ・ピカソ「ドラ・マールの肖像」
豊田市美術館
エゴン・シーレ「カール・グリュンヴァルトの肖像」
高知県立美術館
マルク・シャガール「オルジュヴァルの夜」
福島県立美術館
ベン・シャーン「スイミングプール」
豊田市美術館
ルーチョ・フォンターナ「空間概念」
東京都現代美術館
デイヴィッド・ホックニースプリンクラー
日本人画家の作品では
北九州市立美術館
坂本繁二郎「海岸の牛」
新潟県立近代美術館万代島美術館
岸田劉生「冬枯れの道路(原宿附近写生)」
福岡県立美術館
高島野十郎「蝋燭」
神戸市立小磯記念美術館
小磯良平「着物の女」
天童市美術館
熊谷守一「兎」
山口県立美術館
香月泰男「涅槃」
倉敷市立美術館
斉藤真一「星になった瞽女みさお瞽女の悲しみ)」
福島県立美術館
速水御舟「女二題」
町田市立国際版画美術館
谷中安規「蝶を吐く人」
長野県信濃美術館
池田満寿夫「愛の瞬間」
岩手県立美術館
船越保武「萩原朔太郎像」
など。
岡鹿之助佐伯祐三三岸好太郎国吉康雄狩野芳崖、小松均もあったが、これらの人たちについては、もっといいのがあるだろうという気がしてしまった。コンペティションじゃないんだから、この展覧会のために最高のものを出したりはしないでしょうけどね。
特に小松均は、多分そんなに有名でないと思うだけに、こういうときにもっとガツンとくるやつを展示しておけばなぁとくやまれる。私は2002年の五月に富山の水墨美術館で彼の展覧会を観てとても気に入った。野性的でみずみずしい絵を描く人であったと記憶している。
狩野芳崖は、岡倉天心なんかのアカデミズムといっしょくたに語られることが多くて損をしている気がする。事実上狩野派最後の巨匠だと思う。
ベン・シャーンホックニーの絵の、明るくて乾いていて、それでいてどこか空疎な感じ。あの感じは、今となっては懐かしのアメリカという感じなのかもしれない。
ホッパーとかエステスとかにも感じるあの感じが、私は大好きなのだけれど、現在進行形のリアルなアメリカ人にとっては、どんな感じがするものだろうか、聞いてみたいものだ。「アメリカ的すぎる」と感じるかもしれないとふと思った。
ま、ホックニーはアメリカ人じゃないんですけど。
藤田嗣治の絵もあった。が、藤田の絵についてはこのあと、横浜そごう美術館で展覧会を観にいったのである。
藤田嗣治をめぐるいきさつについては、ナチスパウル・クレーの作品を破棄したのと同じくらいのひどい話で、日本の場合は、それを画壇が率先してやったという点がさらに悲しい。
当時は彼のファッションや髪型にまで批判が集まったそうだが、今見ればただただカッコいいだけである。
ひとことでいってしまえば日本社会が未熟だったというそれだけのことなんだろう。
明治以降ただひとり世界的評価を勝ち得た日本人画家に対してあまりにも失礼な態度であったと言わざるえない。