松岡美術館、目黒自然教育園

knockeye2010-12-11

 目黒駅前に出ると、たくさんの銀杏の葉と、若干のごみくず(コンビニの袋とか)が、小さな輪を描いて舞っていた。
 地元の人は気がついていないだろうけれど、東京には落ち葉が多い。たとえば、若いころ暮らした京都は、もちろん東京に比べて、緑の豊かさで負けてはいないけれど、ただ、冬の落ち葉はこんなに多くはなかった。ひとつには、京都は盆地で風が強くないこと、もうひとつには、やはり、植生が違い、照葉樹が多いのだろうと思う。
 落ち葉が風に舞う風情が私は好きだ。最近、街路樹の葉が自然に落ちる前に、行政が枝を落としてしまうことが多いが、無粋なことだと思う。
 関東平野の冬らしい、よく晴れた日になった。昨日も午後九時まで残業したのだけれど、ちょいがんばって出かける。
 松岡美術館。よくいく東京都庭園美術館のすぐ裏くらいにあることがわかったので。
 水墨画への誘い展‘後期’。展示替えがあるのに気がつかなくて、前期は見逃してしまった。
 円山応挙の六曲一双の<山水図>。被った笠に雪をのせて、深山に踏み入っていく騎乗の姿が、この晴れた冬の朝に似つかわしく感じられた。実際には、小春日和の暖かい一日だったけど。

 水墨画では、堂本印象の<雨後水声清>という絵が琴線に触れた。あの技法は‘たらし込み’だろうか、意図的ににじませた墨の黒が美しかった。
 酒井抱一の三幅対の掛け軸、<布引の滝・月兎・旭鶏>の月兎の絵はがきが手に入らないかなと期待していたのだけれど、なかった。いうまでもなく、来年の年賀状にしようという魂胆だった。
 話はそれるけど、この時期に美術館にでかけると、たいがいどこでも、所蔵品の中から、年賀状用の絵はがきがおいてある。わたしも誰に出す当てもなく、いくつか手に入れている。畠山記念館では、本阿弥光悦の<扇面月兎画賛>、たしか、サントリー美術館だったと思うけれど、歌川広重の<月夜木賊に兎>、出光美術館では、<古銅兎香炉>を二種類、これはかなりかわいい。だけど、いちばん欲しかったのは、今回の酒井抱一だった。残念。

(↑訂正します。後日、台所のテーブルの上に発見しました。買ってきて忘れてたみたいです。)


 同時開催されている「陶俑の美展」の、唐三彩の馬は、やはり迫力がある。8世紀という昔だが、このころの中国の文化が高い水準にあったことをを納得させる。馬だけではなくて、駱駝や、明らかに漢民族ではない顔つきの駱駝引きなどを見ると、他の文化に開かれていて、交流が盛んであることが、自然に文化を豊かにするのかなと思った。
 この日は、ほかにも美術館を訪ねるつもりだったが、松岡美術館の庭の紅葉とサザンカがきれいなので、つい、となりの目黒自然教育園に立ち寄った。
 いつも携帯するT77がこないだの大雨の余波で充電しいなかったため、HS10を持っていたというせいもあった。
 この公園は、サイトによると「江戸時代には松平讃岐守の下屋敷で、古くは室町時代の豪族、白金長者の居地だったと伝えられる」そうで、今に武蔵野の面影を伝えている。
 ちょうど紅葉が見ごろで、気持ちいい落ち葉のにおいもあって、つい長居してしまった。