読んだ本

 震災以後、読書のペースが鈍っている。
 ‘本を読まない期’というのが間欠的に訪れるので気にしていないが、今回の場合は、節電で電車の車内が暗いのも一因であるかも。

柄谷行人中上健次全対話 (講談社文芸文庫)

柄谷行人中上健次全対話 (講談社文芸文庫)

「差異」という概念について、柄谷行人の言。

 一口で言えるなら苦労はないよ。だけど、あえて簡単に言えば、それは同一性ということの反対概念だからね。要するに、近代のブルジョア社会、国家、科学、経済、これはみな同一化するものだし、同一性を強いていく。人がものを考えるときには、それを自然で自明なものとして、前提してしまっている。
 早い話が、世界に同じものなぞ一つもありはしない。しかし、数が存在するのは、そこに同一性を想定するからさ。貨幣もそうだ。まったく異質なものを同一視するところにある。そうすると、どの商品にも、内在的な価値があるかのように見える。

 「小林秀雄をこえて」という対談が面白かった。
 いまでも小林秀雄をありがたがる人がいるけど、それはどうかなと思う。

文学ときどき酒 - 丸谷才一対談集 (中公文庫)

文学ときどき酒 - 丸谷才一対談集 (中公文庫)

 吉田健一のいろいろが面白かった。