自然エネルギーの全量買い取りをめぐる話題

 9月15日の神奈川新聞に以下のような記事があり、神奈川県では年内にも、‘自己負担ゼロ’でソーラーパネルを設置する制度の実現にむけ、道筋が見えてきたようだ。
ソーラーバンク構想、黒岩知事「本年度内にスタート」/神奈川:ローカルニュース : ニュース : カナロコ -- 神奈川新聞社 ソーラーバンク構想、黒岩知事「本年度内にスタート」/神奈川:ローカルニュース : ニュース : カナロコ -- 神奈川新聞社
 また、自宅への設置とは別に、公共施設や工場の屋根などに「屋根貸し方式」でソーラーパネルを設置し、こちらは余剰電力だけではなく、全発電量を売った収入を出資者に分配する、ファンドの設立も検討している。
太陽光発電:市民出資で 知事、ファンド構想表明 /神奈川 - 毎日jp(毎日新聞) 太陽光発電:市民出資で 知事、ファンド構想表明 /神奈川 - 毎日jp(毎日新聞)
 こうした‘自然エネルギー証券化’は、自宅の屋根にソーラーパネルを設置できない人や、そこまでの踏ん切りがつかない人も手軽に自然エネルギーの促進に参加できて、しかも、運用次第では、資産になりうるという点で、可能性が大きいかなと思っている。金融機関と緻密な連携で制度設計すれば、裾野の広い支援を獲られるという点で、力強い推進力になりうると思う。
 一方で、9月18日の東京新聞の一面トップに、大手電力会社十社へのアンケートがあり、十社のうち七社(北海道電力東北電力北陸電力中国電力四国電力九州電力沖縄電力)が、風力発電の買い取りに上限を設けていて、自然エネルギーの全量買い取りが義務づけられた以後も、この上限を撤廃しない方針であるらしい。すくなくとも、「撤廃する」と回答を寄せた電力会社はゼロ。
 これは、再生エネルギー促進法が、自然エネルギーの全量買い取りについて「電気の円滑な供給確保に支障が出る場合」買い取りを拒否できる例外を認めているため。ひらたく言えば、電力会社の‘さじ加減ひとつ’ということ。
 このため、たとえば、売電を希望する業者が殺到した場合は抽選になる。2007年に九州電力が実施したこうした抽選では、応募した120社のうち契約できたのは、さて、何社でしょう。正解は7社。120社のうち7社しか買い取らないのに‘全量買い取り’とは、これすなわち制度の骨抜き。こういうバカなことを延々と繰り返すのが官僚主義というものなのである。
 東京新聞はまた昨年度の自然エネルギーの買電と供給の実績についても質問したが、内訳まで回答したのは北海道電力だけ。他の電力会社は回答を拒否している。
 こういうところに、野田政権がちゃんと行政としての指導力を発揮できるかどうか、目を光らせていかなければならないだろう。この上限枠が撤廃されないとなると、野田政権は電力会社に‘舐められている’ということなんだろう。7/120を買い取って、「全量買い取りました」なんて平気でいわせてるようじゃね。
 ちなみに七社の上限枠は、北海道電力36万キロワット、東北電力118万キロワット、北陸電力25万キロワット、中国電力62万キロワット、四国電力25万キロワット、九州電力100万キロワット、沖縄電力2万5千キロワット。