日曜日のことを月曜日の記事として木曜日に書いている。
町田の国際版画美術館に、歌川国芳と月岡芳年の親子展(いわば)を観にいく。上方落語にたとえれば‘米朝、吉朝親子会’みたいなこと。
月岡芳年は歌川国芳の弟子、水野年方は月岡芳年の弟子、鏑木清方は水野年方の弟子、伊東深水は鏑木清方の弟子。この五人の変遷がそのまま江戸から昭和への浮世絵の変遷でもある。
なかでも、江戸から明治への大変革をまたいだ月岡芳年の絵は劇的になる。というより、江戸にいて明治維新を目の当たりにして、時代の空気を伝えないようなことで浮世絵師といえるだろうか。
慶応4年から明治2年にかけて描かれた『魁題百撰相』にあたっては、芳年は上野の山に彰義隊を取材に赴いたそうだ。
<鳥井彦右ェ門元忠>の、銃口をのどにあて自ら引き金をひいた瞬間の壮絶、慶喜の母、吉子女王を暗示したといわれる<若狭局>の毅然、は、そうした取材から生まれたということになるのだろう。
江戸川乱歩、三島由紀夫らを魅了した血みどろの絵には、芳年の資質はもちろんだが、しかし、当時の世相が反映していると思える。
芳年は、何度か病のため画業を中断させているが、神経の病だったといわれている。
『魁題百撰相』は、町田市立国際版画美術館の監修で出版されているようだ。
- 作者: 小池満紀子,大内瑞恵,町田市立国際版画美術館
- 出版社/メーカー: 二玄社
- 発売日: 2012/01/01
- メディア: 大型本
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