カミーユ・ピサロ

knockeye2012-08-14

 お盆になると実家に帰って両親と美術館に行く。いつのまにか習慣になった。
 今年は兵庫県立美術館で開かれているカミーユピサロ展。
 この美術館は、阪神淡路大震災のあと、いまの場所に移転する前、阪急王子公園駅がまだ西灘といっていたころに、よく訪ねていた。
 カミーユピサロの展覧会もそんな若い頃に観た記憶がある。前回の大規模な展覧会は1984年だそうだから、おそらくそのときの京都の展覧会を訪ねたのだろう。その年はたしかに京都に住んでいた。
 ピサロの絵にはそれから何度も出会ったけれど、感想は変わらない。ごく初期の頃の絵がよく、あとにいくほどいけなくなる。
 とくに、スーラ、シニャックの点描にとりつかれたあたりはどん底で、それはさすがに本人も自覚があるらしく、後には点描について批判的に語っている。
 今回の展示作品のなかでも<エルミタージュの眺め、グラット=コックの丘、ポントワーズ>が断然よい。

 これを描ける人が、どうしてタッチを分割する必要があったのか。
 そんなわけで、ピサロの展覧会を観ていると、いろんな思いが浮かんで消える。
 モネと印象派インパクトを想像したり、マネが印象派とのあいだに置いていた絶妙な距離感とか、印象派のなかにいてずっとおなじような絵を描いていたシスラーのこととか。
 ピサロはまたポール・ゴーギャンを絵の道に導いた人でもあるらしい。ゴーギャンが長く所蔵していたピサロの絵も展示されていた。
 陽炎のたつ埃っぽい坂道を二人の人がすれ違おうとしている。タッチが細かくなっている頃の絵だが、これはよいと思った。
 奈良がライトアップされているというので出掛けたが、ものすごい雨で早々に引き上げた。