「恋のロンドン狂騒曲」

恋のロンドン狂騒曲

 日曜日は「スケッチ・オブ・ミャーク」だけじゃなくて、日比谷シャンテで「恋のロンドン狂騒曲」も見た。
 原題は‘You will meet a tall dark stranger’っていって、これはダブルミーニングというか、ちょっとしたひねりになっていてしゃれている。
 たぶん「ミッドナイト・イン・パリ」が予想外の大ヒットだったので、その前作のこの映画が日本でも公開されることになったんだと思う。ここまで書いて、‘ウディ・アレンの’と一言も書いていなかったことに気が付いた。ウディ・アレン監督作品。今は、ロンドンに住んでいるんだそうです。
 「ミッドナイト・イン・パリ」は観にいこうか迷って観にいかなかった。タイムトラベル的なことはもういいかということもあったし、しかも、その迷い込む時代が、スコット・フィッツジェラルドがバブルに浮かれているパリとは、あまりに懐古的ではないか、アメリカ人よ、という気持もあり、おもしろそうだなと思いながらも、敷居が高かった。映画館に敷居があればだけれど。
 もしかしたら面白かったかもな、と今でも思うのだけれど、わたしとしては、今回のこの映画の方が今の気分に合う。そうそうこの苦さだよね、という感じ。
 それと、キャストが豪華ですよ。レスター教授のアンソニー・ホプキンスでしょ、デスパレートのアントニオ・バンデラスでしょ、「ザ・リング」のナオミ・ワッツでしょ、それが、脳みそも喰わず、ギターにガンも仕込まず、ビデオの呪いにもかからないんだから、これ以上の贅沢はない。
 それに、「MIB3」で若き日のKを演じたジョシュ・ブローリンが、ナオミ・ワッツの旦那です。それだけでもちょっと許しがたい感じなんですけど、あろうことか、「スラムドッグ$ミリオネア」のヒロイン、フリーダ・ピントとちょっとごちゃごちゃします。
 登場人物全員がもののみごとに間違った選択を積み重ねます。でも、ただの観客にすぎないわたしが、‘その選択は間違ってる’と思った時点で、もうウディ・アレンの手管にはまってるんだよね。あとは、‘ a tall dark stranger’に出会うまでまっさかさまか。
 「MIB3」では、Kの若い頃というしぱりがあるせいで抑え気味だったジョシュ・ブローリンだけれど、この映画ではいい味だしてる。病室のシーンは最高に笑えた。
 わたしみたいにひねくれものには最高の映画だわ。