- 作者: 小林信彦,和田誠
- 出版社/メーカー: キネマ旬報社
- 発売日: 2013/03/30
- メディア: 単行本
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わたくし、ずっと小林信彦のファンだったつもりだけど、このころの文章を今読むと、若々しいわぁ。そして、かっこいいわぁ。
とくに、喧嘩上等みたいな、論争系の文章は、気っぷがいいね、若いの、という感じ。立て引きが強いね、とか。
自分で自分を天才だと言ってサマになる、数少ない人のひとりだと思う。
今週か先週かの週刊文春では、クドカン(の「あまちゃん」)と、友近を誉めてた。友近、さま〜ず、春風亭昇太、などなど、わたくしと芸人の趣味はぴたっと合うのだけれど、というか、わたしの芸人の好き嫌いは、ほとんど小林信彦の薫陶によるものだと思っていたのだけれど、どういうわけかダウンタウンだけは頑として認めない。これはすこし不思議、すこしわかる。
同じ誌上で、クドカンはダウンタウンの番組に出て感動しているのに。
読み終わって、なんとなく映画が観たくなり、「はじまりのみち」を観にいった。クドカンの(某映画祭で‘セルフフェラチオムービー’とカテゴライズされたという)「中学生円山」という選択もありだったけれど。
静岡は、映画に力入れているのか、絵になる街並みが多いというせいもあるのか、「たみおのしあわせ」の古い医院とかは、あの建物でなければ成立しなかったくらいだったし、あと、アッバス・キアロスタミのひっどい映画(あれも加瀬亮が出ていたが)も、静岡でロケしていた(と思う。高梨臨がタクシーで回る‘東京駅’のロータリーは、静岡駅かどうかは知らないけれど、静岡だと思う。家康が駅前に立ってる県って静岡以外に考えられる? )。
「はじまりのみち」は、原恵一というアニメーションの監督がはじめて実写のメガホンを取った作品で、木下恵介監督の生誕100年記念。
初々しいというべきだと思うけれど、最初の加瀬亮と大杉漣の会話は、はっきりと‘ネタ振り’、説明的すぎて、ちょっと‘あらら’と。
加瀬亮と濱田岳がうまいし、ストーリーがシンプルなのはよいと思うのだけれど、木下恵介監督が映画を辞めようまで思い詰めた心理を、シナリオが掘り下げていない。全体としてはメロドラマになっていると思う。
でも、クレヨンしんちゃんの監督らしく、画面の作り方はうまいと思った。光石研と濱田マリのきょとんとした感じなんかクレヨンしんちゃんのワンシーンみたい。
それから、木下恵介監督も、家族と会話するときくらい、静岡弁になりそうなものだけれど、主人公が方言使わないのも、なんかアニメ的なのかな。クレヨンしんちゃんはそうじゃないけど。
オススメってほどじゃないくらいの感じ。ナオト・インティライミくらいの感じ。