「撤退」

knockeye2014-07-23

 世評ではツイッターは何のために存在しているかよくわからないらしいが、マスコミが取り上げない情報が入ってくるメディアは、個人的にはおもにツイッター
 反ヘイトのデモについては、有田芳生をフォローしていなければまったく知らなかったろうし、ガザやイラクについても信頼できる(つまり、二次情報ではない)情報はツイッターから入ってくる。
 それでいて、ツイッターの場合は、フォロワーとのあいだに、強い人間関係がうまれないところが、実際は、いちばん気に入っているかもしれない。
 今回も蒙を啓かれたのは、奈良美智のツイートに紹介されていた下の記事。

ガザ地区へのイスラエル空爆と攻撃が話題になっているが、そのイスラエルが2006年にはガザの占領を止めて完全に撤退している・・・
以降ガザの施政権は完全にアラブ人側に帰属しているが、あえてパレスティナ人に、とは言うまい。現在のガザを支配し、IDFと戦争をしているハマスの「ガザ政府」の主流はパレスティナ人ではなく、ムスリム各国から集まったいわゆるムジャヒディン義勇兵たちだ。

 あの小さな土地を奪い合って50年間流血の惨事を繰り返している人たちの、イスラエルの側はよそからの入植者、パキスタンの側はアラブ諸国からの義勇兵となると、彼らがあそこで命に代えても勝ち取ろうとしているものはいったい何なのか。
 彼らの多くがそこで生まれていないという事実は、あらためて「愛国」という心理のグロテスクさを思わせる。私たち自身をふりかえってみると、日本が島国であるために、わたしたちは「祖国」を日本列島の地図の形にイメージしがちだが、他の国の人たちもわたしたちのように、地図上の境界線を「祖国」としてイメージとしていると思うのは思いすごしだろう。
 彼らの「祖国」は、ユダヤ教の律法であるかもしれないし、ムスリムの同朋なのかもしれないが、ともかく彼らは「祖国」のために戦っている。だから、当たり前すぎるかもしれないが、わたしたちが「祖国」と呼び慣わしていることの内容は、それぞれが「祖国」だと思っている概念にすぎない。
 具体的にいえば、あなたの「日本」はあなたの「日本」にすぎないので、あなたがそのために命を投げ出したとしても、それはあなたのひとりよがりにすぎないし、ましてや「祖国」のために人を殺したとしたら、それはただの身勝手にすぎない。
 だから、「キサマそれでも日本人か!」とかいって、あなたの「日本」を私に押しつけるのは辞めてね。わたしもわたしの「日本」を愛しているけれど、それは私の一部なんだから当たり前で別に褒めてもらうには及びません。
 つまり、「愛国心」というのは、利己心にすぎません。
 あの土地で生まれて、あの土地で育った人たちだけの間で、この戦争が戦われていたとしたら、もしかしたら、もうとっくに終わっていたのかもしれない。しかし、実際は、世界中のユダヤ人の利己心と、世界中のムスリムの利己心が、あの小さな土地に流れ込んで、お互いの子供たちを殺し合っている。
 すべての国家主義者が赴くべき地獄があるとしたら、まさに、ガザこそ彼らにふさわしい。

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