「コンビニ人間」

knockeye2016-08-11

コンビニ人間

コンビニ人間

 村田沙耶香の「コンビニ人間」は、最近でもっともエキサイティングだった。まさに今の現実を描いた破壊力がある。
 芥川賞の受賞作と知らずに読んだので、選評はどんなだろうと文藝春秋を買ってみたが、村上龍の選評は、なんと全文「コンビニ人間」。「コンビニ人間」のことしか書いていない。
 苦言を呈しているのは、島田雅彦だけだが、他の選考委員の文を読んだ感じでは、どうも崔実の「ジニのパズル」をゴリ押ししたらしく、それが通らなかった八つ当たりみたい。
 「ジニのパズル」は、未読なので何も言えないが、他の選考委員の口振りからすると、テーマの大きさに技術が追いついていない感があったようだ。もっとも、もし芥川賞を獲得してもおかしくない作品だったという選評もあるし、村上龍とは逆に、高樹のぶ子は、「ジニのパズル」についてしか書いていない。
 この2作品に加え、今村夏子の「あひる」も評価が高く、今年は全体にレベルが高い賞レースだったようだ。
 とはいえ、「コンビニ人間」は、一読すぐに人に薦めたくなる。すごいと思いますよ。