「火HEE」

knockeye2016-09-05

 今日は人間ドックだったんで、久しぶりに平日の朝に電車に乗ったが、満員電車ってあんなことを1970年前後からずっと続けてきているのかと愕然とした。これをなんとかしようとは、実は誰も本気で思ってない怠惰。飼いならされた羊でいることが幸せだと思ってて、羊同士で不平をぶつけ合ってる。
 「ミリキタニの猫」を観た日に、シアター・イメージフォーラムで、桃井かおり監督脚本主演の「火HEE」てふ映画を観た。
 プロデューサーの奥山和由が、中村文則の短編を桃井かおり主演でって考えてたのを「ついでに監督もどうですか?」ってなったらしい。
 10日で撮り終えたっていうから、良くも悪くも桃井かおりが全てっていう映画。だけど、それだけで映画が成立する女優であるにはちがいない。
 複数の会話が交錯するエレベーターの同じシーンが、マイクのフォーカスする会話を変えて何度も繰り返されるのが面白かった。スマホの着信音が効果的に使われている。あの着信音が、事件のトリガーだったんじゃないかっていう怖さ。短編小説ならではの味わい。
 桃井かおりは、坂本あゆみの「FORMA」を絶賛していた。ああいうチャレンジにアンテナが反応するっていう、そういう立場にいて映画を作ってるんだと思う。エレベーターのシーンを観ててそう思った。
 それから、この映画、吉本興業制作。吉本の映画は、松本人志でこけちゃった感があるが、配給ルートが細い状況で、ユニークな作品に挑戦しているのは好感が持てる。タレントが豊富なのは間違いないので、ちょっとしたキッカケでブレイクするかも。
 先代の桂文枝の言葉を借りれば、「どこまで我慢できるかでんな」。