「集金旅行」

knockeye2014-08-23

 ユーロスペースで「FORMA」を観た後、4階に移動して、シネマヴェーラで「集金旅行」を観ることにした。
 ただ、すこし間があったので、Bunkamuraで「進化するだまし絵」を観た。ほとんどだまされなかったけど。
 とくに、トロンプルイユなんて、ただ絵が上手って言うだけ。デヴィッド・ホックニーのコラージュは、だますつもりないと思う。
 ただ、パトリック・ヒューズの「広重とヒューズ」だけは、‘おーっ’となった。声に出して‘おーっ’と言っていたのは、夏休みの子供だけど、私も声に出さないだけで、内心で‘おーっ’と言ってた。
 単純な仕掛けだけど、体感として目がだまされる驚き。だまし絵って言うならこういうのもっとちょうだい。
 それから、ここにも、ラファエル・ソトが一点。この人の作品は、空間演出っていう意味で、たとえば、吉岡徳仁よりずっとクールに感じるんだけど、美術史の文脈にどうおさまるかというと、それも吉岡徳仁といっしょで、美術館の枠におさまりきらない広がりの人でもあるだろう。
 それでもまだ時間があったので、松濤美術館に「台湾美術院の作家たち」の前期を観にいった。ジュディ・オング木版画なんかもあった。
 蘇憲法という画家の「蓮」がよかった。油彩の蓮はなんといってもモネがものにしてしまったので、とてもむずかしいのだが、モネを離れて、蓮の美を再発見している。泥田に咲く蓮。
 シネマヴェーラで「集金旅行」っていうのは、いま、中村登って人のレトロスペクティブをやっていて、そのうちのひとつ。ほんとは二本立てなんだけど、一日に映画3本観ると偏頭痛がするので。
 井伏鱒二の小説を映画化したものでは、森繁久彌が主演した「駅前旅館」も観た。映画としては、この後シリーズ化されて原作を離れた「駅前医院」とか「駅前弁当」のほうが面白かったけど、ただ、森繁久彌の着物姿がかっこいいのと、淡島千景のきれいなのと、淡路恵子のスタイルがいいのに驚いた。
 その意味では、この「集金旅行」は、まず、佐田啓二岡田茉莉子の美男美女ぶり。岡田茉莉子は、いまのルックスからも若い頃はさぞかしきれいだったんだろうなと想像できるけれど、実際見ると想像以上。
 「駅前シリーズ」もそうだったけれど、日本各地の観光案内的な要素もあって、最後の方に阿波踊りが出てくるんだけど、あの女踊りは当時からセクシー。原作にあったかなかったか、たぶんなかったと思うけど、あれをいれた意図はわかる。
 それで、「集金旅行」は、骨格がしっかりしている話なので、あんがい、今の時代を舞台にしてもリメイク可能だなと夢想してみていた。ふと思い出してみると、「神様のくれた赤ん坊」は、もしかしたら、このリメイクだったのかもしれない。渡瀬恒彦桃井かおり
 今、作るとすれば、佐田啓二の役は木村拓哉だな。そして、花菱アチャコの役を明石家さんま師匠にやってもらいたい。ここは譲れない気がする。浜田雅功にすると、キムタクじゃバランスがおかしい。トニー谷の役は、江頭とかバナナマン日村とか。
 岡田茉莉子の役は、コメディエンヌの素質がほしいから、北川景子とか、貫地谷しほりとか、井上真央とか。酒井若菜は?。
 ラブコメって、日本映画であまりつくらないんだけど、それが、アイドル映画がこける一因だと思う。泣かそうとするから。