
- 作者: 安西水丸
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/06/24
- メディア: 単行本
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暇つぶしに読んでるから、読んだはなから忘れてゆく。忘れてゆくけど、まあ、読んでく。
タイトル通り、ほとんどどうということもない城のあった、ほとんどどうということもない城下町を歩いてくだけの本。そして、ほぼどうでもいい歴史の雑学がちりばめられてる。
しかし、こういう旅の小品をいくつか並べて見るのも、不思議と飽きない。城下町というくくりも、ちょっとした発明でもあるのだろう。タモリの坂道というくくりもそうだけど、暮らしを楽しむちょっとしたセンスでもあるだろうし、徹底的に孤独な一人遊びでもある。どこかポケモンGO!を思わせる、コレクター心理でもあるような。
関西にいた頃、信州にいた頃、富山にいた頃は、若かったせいもあるのか、よく一泊二日程度のキャンプツーリングに出かけたものだったが、こっちに来てからは、渋滞にうんざりしてしまって、出かける気をなくした。
それに、こちらには、映画なり美術館なりの、お手軽な一人遊びがイッパイあるということも大きい。
小さな旅にはいつも憧れてきた気がする。ロシア横断とか、北海道放浪とかの破滅的行動とは違って、小さな旅には暮らしのセンスが必要だからだろう。
柳宗悦の民藝運動について書いたところがいくつかあり、中に、柳宗悦は小堀遠州に否定的だったみたいな部分があり、あれ、そうだっけ?と読み返してみたら、たしかにそんな箇所もあった。
小堀遠州といえば個人的には、それこそ小さな城下町、水口の大池寺にある大刈り込みの庭が印象に強いんだが、綺麗さびと言われるキャッチーな美しさを維持する手間は確かに大変だろう。庭が暮らしに寄り添うべきだとしたら、大刈り込みは確かに特権階級のものであるかもしれない。