狂人を真似るものはまた狂人である

 安倍政権の総意として、たぶん、こういうことを「政治」だと思ってる。

「お前ほど頭の悪いものはいないのではないか」と昭和天皇に面罵された板垣征四郎陸軍大臣を思い出した。天皇も、国会も、民意も無視して関東軍を暴走させた張本人で、東京裁判で絞首刑にされた。が、今の安倍政権がこういう人たちを範とあおいでいるなら恐ろしいことだ。

 狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり。悪人の真似とて人を殺さば、悪人なり。驥を学ぶは驥の類ひ、舜を学ぶは舜の徒なり。偽りても賢を学ばんを、賢といふべし。

と、徒然草にあるそうだ。
 司馬遼太郎は、旧日本陸軍を「とうてい正気の人とは思えない」と言っていたそうだが、安倍政権が真似ている狂人はこのあたりらしい。
 おもてに愚者を真似て、内心優越に感じているかもしれないが、愚者をまねるものこそが愚者なんだろうと思う。
 前にも書いたが、小泉政権の最大の失敗は、金融政策がともなわなかったことだった。せっかく景気が拡大しても、日銀が金融引き締めの態度を改めなかったために、景気回復が本格化しなかった。
 これに対して、安倍政権は金融緩和だけ。景気に寄与したのは黒田日銀総裁の施策だけで、安倍政権は何もしていない。アベノミクスはクロダノミクスにとどまっている。
 この間、やれることが何もなかったかと言えば、そんなことはない。プーチン大統領との個人的な関係から日露関係を改善もできたはずだし、トランプ大統領プーチン大統領の間を取り持つこともできたはずだ。ブレグジットに関しても、英連邦と日本の経済関係を強化する働きかけができたはずだし、イランとアメリカの関係がこじれる前に、間に立つ努力もできたはず。北朝鮮との関係改善も韓国に先んずることができたはずだし、憲法問題にしても慰安婦問題にしても、いうべきことは言うべきなのはもちろんとしても、どちらへ向かおうとしているのか、その方向性が提示されていないので、中韓との関係も煮えきらない。
 憲法改変について、自民党の悲願ということになっているが、それは、アメリカから主権を取り戻すことなのであって、自衛隊憲法に明記して、沖縄の基地を恒久化してしまっては、それはむしろ逆方向で、永久にアメリカの支配から抜けられない。
 そして、変な女性官僚がIPS事業にくちばしを挟んだり、コインハイブの判決を巡っても、どうも景気に冷や水を浴びせる方向の動きしか見えない。
 その上、消費税を上げて、反社会勢力を桜の会に招待したとなれば、批判が収まらないのは当然だ。それを反省するでなく、バカ大臣を指名して乗り切ろうとしている。まともな野党が存在しないのが残念だが、この際、組織力を考えて、最善の策ではなくても、共産党を支持するしかないのかもしれない。
 返す返すも、小沢一郎鳩山由紀夫の裏切りが大きかった。

山中教授に予算削減迫った?“渦中の女性官僚”が国会に TBS NEWS

ただでさえ基礎研究にカネがなくて国際的競争力が落ちてるのに、ipsみたいに世界で鎬を削りあってる現場にくちばしっこむこの手の役人を庇うとは、この政権もうダメかも。

2020/01/30 01:54

hiro.asks.jp